柴胡(さいこ)

基原

セリ科UmbelliferaeのミシマサイコBupleurum falcatum Linnéまたはその変種の根

性味

苦・微辛、微寒

帰経

肝・胆・心包・三焦

効能・効果

①透表泄熱
②疏肝解鬱
③昇拳陽気

主な漢方薬

小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
大柴胡湯(だいさいことう)
柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
延年半夏湯(えんねんはんげとう)
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
加味逍遙散(かみしょうようさん)
乙字湯(おつじとう)
その他多数の漢方薬に配合

特徴

ミシマサイコはセリ科の多年草で、日の当たる草地や林に生育します。江戸時代に日本で全国的に栽培されるようになりました。

ミシマサイコの名前は、かつて静岡県三島地方から品質の良い柴胡が出荷されていたことに由来しています。昔は薬にするほど野生品がありましたが、今は滅多に見られない希少植物になっています。柴胡は多数の漢方薬に配合されており、なくてはならない生薬です。最近では、中国や韓国から輸入する一方で、日本でもミシマサイコの栽培が行われています。

二年間栽培しても収穫できるのは一株から小指程度の大きさの根が一本だけなので、どうしても根の張る生薬になってしまいます。

柴胡には産地や原植物の違いにより北柴胡と南柴胡があります。日本薬局方の規定では基原植物はミシマサイコまたはその変種となっていますが、中国から輸入される野生種はマンシュウミシマサイコ(北柴胡)やホソバミシマサイコ(南柴胡)があります。野生品は軽質、栽培品は硬くて淡色なので区別することができます。本属植物は変化が多く分類学的に未整理で、原植物は多種にわたっています。

柴胡に含まれるサポニン成分は、1966 年に国内で分離・構造決定されたことから、和名に由来してサイコサポニンと命名されました。サイコサポニンは重要な生薬の特異的な成分であることから、様々な薬理実験が実施され、抗炎症作用や鎮痛作用をはじめ、肝障害の改善及び予防効果が報告されています。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に収載されており、「久しく服すれば、身を軽くし、目を明らかにし、精を益す」と君薬にあげられています。柴胡が配合されている漢方薬は「柴胡剤」と呼ばれるほど、重要な生薬の一つです。

辛涼の薬で冷まし、風熱の邪を体表から発散させる辛涼解表薬(しんりょうげひょうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に薄荷(はっか)、牛蒡子(ごぼうし)、桑葉(そうよう)、菊花(きくか)、蔓荊子(まんけいし)、葛根(かっこん)升麻(しょうま)などがあります。

柴胡は漢方の少陽病の主薬です。東洋医学では病気は外部からまず表(皮膚とその周辺)に侵入するとされています。この時期を「傷寒論(しょうかんろん)」では太陽病といい、治療には葛根湯(かっこんとう)などが使われます。太陽病の時期に治らない病気は半表半裏(はんぴょうはんり:口腔から横隔膜付近までの器官)に侵入します。この時期を少陽病といい、胸脇苦満(きょうきょうくまん:肋骨の下が張って押すと痛む)や往来寒熱(おうらいかんねつ:悪寒と発熱が交互に現れる状態)、白舌(はくぜつ:舌の上面が白い)などの症状が現れます。この時期を過ぎると病気は裏(消化管のある部位)に到達して陽明病となります。さらに体力が落ちれば太陰病、少陰病、厥陰病(けっちんびょう)を経て死に至ります。慢性病の中には少陽病期のものが多く、風邪などの急性病も治らずに数日経つと少陽病になります。この時期に使われる生薬が柴胡です。

肝鬱気滞の憂鬱・いらいら・胸脇苦満・月経不順などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、白芍(びゃくしゃく)と一緒に配合された柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)四逆散(しぎゃくさん)があります。

気虚下陥の慢性下痢・脱肛・子宮下垂などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、黄耆(おうぎ)・升麻と一緒に配合された補中益気湯(ほちゅうえっきとう)があります。
柴胡は配合の違いによって異なった効能を発揮します。葛根や羌活(きょうかつ)との組み合わせは発汗解表に、黄芩(おうごん)青蒿(せいこう)との組み合わせは透表泄熱に、香附子(こうぶし)鬱金(うこん)との組み合わせは疏肝解鬱に、白芍との組み合わせは疏肝止痛に、黄連(おうれん)との組み合わせは清散鬱火に、枳実(きじつ)との組み合わせは昇清降濁に働きます。

柴胡と葛根は共に軽清昇散に働き、解表退熱によく併用されます。柴胡は疏肝解鬱に働き、益気薬に配合すると昇挙陽気に作用しますが、生津止渇の効能はありません。葛根は生津止渇、昇発清陽に働きますが、疏肝解鬱の効能はありません。

かつて慢性肝炎には良い薬がなく、漢方薬の小柴胡湯(しょうさいことう)が盛んに使われていました。その量は日本で消費される漢方薬の半分が小柴胡湯と言われるほどでした。その結果、一部の方にアレルギー性の間質性肺炎の副作用が発現して大きな問題になりました。現時点では明確に原因は解明されておらず、黄芩と柴胡の関与が示唆されています。副作用が認められた漢方薬の多くは黄芩の量が多かったため、黄芩の単独もしくは黄芩と柴胡の組み合わせ、または黄芩と半夏(はんげ)の組み合わせなどが原因として考えられています。小柴胡湯以外に間質性肺炎の副作用が認められたのは、大柴胡湯(だいさいことう)半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)清肺湯(せいはいとう)柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などです。この間質性肺炎の副作用により安全と考えられていた漢方薬への意識が変わり、漢方薬にとって大きな逆風となりました。しかし、間質性肺炎の発祥頻度は年間10万人に4人と極めて稀です。問題は証にあわない漢方薬を漫然と投与したことであり、きちんと体質を見極めて処方することが重要です。

昇発の性質をもつので、虚証の気逆不降や陰虚火旺・肝陽上亢・陰虚津少などには使用してはいけません。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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