補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
組成
黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・甘草(かんぞう)・当帰(とうき)・白朮(びゃくじゅつ)・升麻(しょうま)・柴胡(さいこ)・陳皮(ちんぴ)・大棗(たいそう)・乾姜(かんきょう)
効果
消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症:
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症
効能
補中益気・昇陽挙陥・甘温除大熱
主治
気虚下陥:
元気がない・疲れやすい・動くと息切れがする・四肢がだるく無力・物を言うのがおっくう・立ちくらみ・頭痛・めまい・下腹部の下墜感・脱肛・子宮下垂・慢性の下痢・尿失禁・排尿困難・不正性器出血・皮下出血など
気虚発熱:
発熱・身体の熱感・自汗・悪風・頭痛・口渇があり熱い飲物を欲する・物を言うのがおっくう・息切れ・元気がないなど
方意
エネルギー不足である気虚改善の代表的な処方で、名の通り中(胃)を補い「気(元気)」を益す処方で、すべてに力なく倦怠感の著しい方に持ちます。その効果は「医王湯(いおうとう)」の別名を持つほどです。
身体虚弱・病気・過労などで疲労困憊した時や、小柴胡湯(しょうさいことう)証の虚証の場合に用います。
診断のポイントは、手足の倦怠・言語軽微・眼勢無力・口中生白沫・失食味・好熱物・当臍動悸などです。
中医学では食べたものと呼吸で取り入れた酸素が変換されて「気」になると考えられており、胃腸系(脾)や肺の機能が低下している方はこの「気」が不足してしまいます。「気」が不足すれば心身ともに元気がなくなり、疲れやすくだるい状態になります。同時に、食欲不振などの胃腸障害や喘息や風邪などを防ぐ、肺によって統括されている免疫・バリア機能も低下しがちになります。
主薬は益気・昇発陽気の黄耆で、補肺気・実衛にも働き、他の生薬に比べて大量に用いられています。黄耆・人参・白朮・甘草・大棗・乾姜は補気健脾の働きを、柴胡・升麻は気虚によって落ちた内臓機能を持ち上げ、陳皮は気の流れを整え、当帰は血を補うことで総合的に気虚を治し、身体に活力と元気を与えてくれます。
補中益気湯は元来「甘温除大熱」の方剤で、気虚発熱に対して作られた方剤です。陽気が内に鬱して化熱となると言われていますが、気虚発熱の病理機序についてはいくつか理論があり、必ずしも「陽気内鬱」によるものとは限りません。
類方鑑別
小柴胡湯(しょうさいことう):
補中益気湯よりももう少し実証で、胸脇苦満・寒熱往来があります。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):
気虚+血虚の方剤です。皮膚が枯燥しています。補中益気湯は気虚が主です。
加味逍遙散(かみしょうようさん):
気血両虚と肝鬱があり虚熱を生じ、イライラや寒熱交錯があります。補中益気湯よりも少し実で、虚実は小柴胡湯>加味逍遙散>補中益気湯の順です。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう):
虚実は同程度ですが、頭部の盗汗・不眠・動悸などの心虚の症があります。
帰脾湯(きひとう):
さらに貧血が顕著で顔色が悪く、不安不眠などの精神症状を伴います。
小建中湯(しょうけんちゅうとう):
補中益気湯も虚労病に用いますが、筋肉の緊張状態が違います。小建中湯は筋緊張性の虚労に用い、補中益気湯は弛緩性の体質で中気下陥と虚労を主証とします。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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