葛根湯(かっこんとう)

組成

葛根(かっこん)・麻黄(まおう)・桂枝(けいし)生姜(しょうきょう)甘草(かんぞう)・白芍(びゃくしゃく)・大棗(たいそう)

効果

自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

効能

解肌発汗・舒筋

方意

日本では最も有名な漢方のかぜ薬です。その歴史は古く、約1800年前の西暦220年、後漢時代の医学書である「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」に記載されています。「傷寒」とは急性熱性疾患の一種のことで、序文には「傷寒雑病論」の著者である張仲景(ちょうちゅうけい)の一族の多くがこの「傷寒」によって亡くなったと書かれています。感染症によって200人いた一族の3分の2が亡くなり、その7割が「傷寒」によるものとされ、当時の感染症による被害の深刻さが伺えます。葛根湯は「傷寒」で項背のこわばり、悪寒、頭痛、無汗の症状がある方に用いる薬として紹介されています。現在では「傷寒」は、腸チフスやコレラのような伝染病だと考えられています。

「解表剤」というカテゴリの感冒薬で、汗をかかせ、血管を広げて、悪いものを外に出す性質があります。

診断のポイントは、項背部のこわばり・無汗などです。

虚実は麻黄湯(まおうとう)桂枝湯(けいしとう)の中間にあります。桂枝湯よりも発汗作用は強いですが、麻黄湯のように強力に発汗させすぎて津液を損ない陽脱を起こす恐れは少ないです。

麻黄・桂枝・生姜・葛根はいずれも解表剤ですが、葛根のみ消炎・解熱の性質を持ちます。芍薬・甘草・大棗は体を温める性質を持ち、筋肉の痙攣や痛みを緩和させる力があるため、感冒時の節々の痛みを取ります。

江戸時代には葛根湯は広く知られる薬となり、どんな症状にも葛根湯を勧め、終いには付き添いの人にまで葛根湯を勧める「葛根湯医者」という落語まで作られました。この落語の通り汎用性も効果も高い漢方薬ですが、「汗をかかせる」ことは体力を使うことでもあるので、もともと汗をかいている方や体力虚弱な方、風邪による消耗が激しい方には不向きです。

肩こりの改善薬としても有名ですが、上記の理由により長期使用には向きません。頓服的あるいは短期的に服用することをおすすめします。

葛根湯の証ではありますが、汗をかいているような場合は、桂枝湯(葛根湯から麻黄と葛根を抜いた処方)をおすすめします。桂枝湯は体力の消耗した方や妊婦さんでも比較的安心して使用することができます。

類方鑑別

麻黄湯(まおうとう)
葛根湯よりも実証の方に用います。項背部の筋肉がこわばりより、筋痛・腰痛・関節痛が著明で、喘咳があります。

桂枝湯(けいしとう)
表寒虚証で、病変が浅い部分にあり、自汗があります。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
感冒様症状がありますが、発熱は少なく悪寒が強い場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。

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