黄耆(おうぎ)

基原

マメ科 Leguminosaeのキバナオウギ Astragalus membranaceus Bge.,ナイモウオウギAstragalus mongholicus Bge.などの根

性味

甘、温

帰経

脾・肺

効能・効果

①補気昇陽
②補気摂血
③補気行滞
④固表止汗
⑤托瘡生肌
⑥利水消腫

主な漢方薬

帰脾湯(きひとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
七物降下湯(しちもつこうかとう)
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
当帰飲子(とうきいんし)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
補陽還五湯(ほようかんごとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)

特徴

黄耆は涼しく乾燥した気候を好む多年生草本の植物です。栽培には数年かかり、根は秋に掘り出され、天日乾燥されます。

内部が黄白色で、甘い香気があり、棒状で柔らかいものが良品とされています。

明代の薬物書「本草蒙筌(ほんぞうもうせん)」によると、黄耆の等級を3つに分け、綿耆(綿黄耆)を最上品、水耆(白水耆)を次品、木耆を劣品としました。最上品の綿耆は現在の「黄耆」と同じもので、劣品とされた木耆はマメ科のモメンヅルやムラサキモメンヅル等に由来するものと考えられています。日本ではキバナオウギやナイモウオウギが自生しないため、これらを代用していたこともありました。

ナイモウオウギはキバナオウギに比べて草丈が低く、地上部では劣って見えますが、実はキバナオウギは大きな地上部を支えるために根が分枝しやすくなっています。ナイモウオウギの方がまっすぐに伸びた太い根を得やすいことから、ナイモウオウギ由来の黄耆が良品とされています。

代表的な補気薬(元気を増やす)の一つで、数多くの補気作用のある漢方薬に配合されています。アメリカではアストラガルスという名前で健康食品として販売されています。副作用が少なく安全に使用できるとして、高麗人参と並んで人気のハーブで、韓国料理の参鶏湯(さむげたん)にも使われています。免疫増強や滋養強壮作用を期待して、近年ではがんの予防にも使われています。

気虚(エネルギー不足)を改善する補気薬(ほきやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に人参(にんじん)、党参(とうじん)、西洋参(せいようじん)、白朮(びゃくじゅつ)、山薬(さんやく)甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、膠飴(こうい)などがあります。

エネルギーの源である気を増やすことから、倦怠感・無気力・食欲不振・息切れなどに用いられます。

同じ補気薬である人参と一緒に配合されることが多く、この2つの生薬を主薬としている漢方薬をまとめて「参耆剤(じんぎざい)」と呼びます。参耆剤には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)十全大補湯(じゅうぜんたいほう)人参養栄湯(にんじんようえいとう)があります。

黄耆は特に皮膚表面の気を補う働きがあります。体表を巡る気は衛気(えき)と言って、外部からの攻撃(ウイルス・細菌・花粉・冷えなど)から体を守る役割があります。黄耆はこの免疫に重要な衛気を補う働きがあります。衛気が安定することで異常発汗や盗汗(じっとりとした寝汗)にも効果があります。衛気を補う代表的な漢方薬は玉屏風散(ぎょくへいふうさん)です。

人参には水を溜める働きがありますが、黄耆には体表の水のうっ滞を改善する効果があります。この効果を期待して防已(ぼうい)と一緒に、浮腫や尿量減少に使われる防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)に配合されています。

利尿作用・抗アレルギー作用・降圧作用・がん予防・免疫増強・胃下垂などの内臓下垂の改善・不正出血の改善・増血促進作用など数多くの効能が近年注目されている生薬です。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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