葛根(かっこん)

葛根

基原

マメ科LeguminosaeのクズPuerarialobata Ohwiの周皮を除いた根

性味

甘・辛、涼

帰経

脾・胃

効能・効果

①解肌退熱
②透疹
③生津止渇
④昇陽止瀉

主な漢方薬

葛根湯(かっこんとう)
柴葛解肌湯 (さいかつげきとう)
升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)
葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
参蘇飲(じんそいん)

特徴

クズはマメ科の大型のつる性植物で、日本中のどこでも見られる身近な植物です。

クズという名前は、かつて大和国(現:奈良県)の国栖(くず)という所が葛粉の産地であったことが由来です。国栖の人がこの植物を売り歩いたため、いつしかクズとよばれるようになったと言われています。

秋の七草(萩・尾花・葛・撫子・女郎花・藤袴・桔梗)の一つでもあります。春の七草(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)が食用植物であるのに対し、秋の七草は薬用植物で構成されています。

クズの葉や茎を水中で腐らせてからよく洗うと、葛布といわれる織物が作られます。光沢があり丈夫な繊維で、かつては衣服として使用されていました。現在に伝わっている製法の葛布は、平安時代のころから作られていたと考えられています。

古来より大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをとり、葛粉として利用されてきました。葛粉はクズの根を砕いて、水中で揉みしだき、上澄み液を捨てることを繰り返すことで得られます。奈良県吉野地方が産地としてしられており、「吉野葛」として有名です。葛粉は葛きりや葛餅などの和菓子や料理のとろみ付けなどに利用されています。

辛涼の薬で冷まし、風熱の邪を体表から発散させる辛涼解表薬(しんりょうげひょうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に薄荷(はっか)、牛蒡子(ごぼうし)、桑葉(そうよう)、菊花(きくか)、蔓荊子(まんけいし)、柴胡(さいこ)、升麻(しょうま)などがあります。

葛粉を熱湯で溶いたものを葛湯と言い、風邪の初期や腹痛、食欲が無いときに用いられます。葛根には熱を冷ます働きがあり、漢方薬でも風邪の初期に使う葛根湯(かっこんとう)が有名です。葛根湯を使う目標は、汗をかいておらず、背中のこわばりがあり、悪寒がする風邪の初期に使用されます。葛根湯は体を温めて発汗を促す漢方薬なので、名前にある葛根が温めていると思われやすいですが、葛根湯で体を温めているのは主に麻黄(まおう)の働きです。

皮膚発疹を和らげ、津液を生み出す働きがあります。代表的な漢方薬に升麻と一緒に配合された升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)があります。

胃や小腸の津液を筋肉や体表面に運ぶ働きがあります。代表的な漢方薬に黄芩(おうごん)と一緒に配合された葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)があります。

クズは世界の侵略的外来種ワースト100 に選ばれており、その繁殖力と成長スピードは凄まじいものがあります。日本ではクズの天敵となる虫や動物、病などがあり、四季の影響もあってそこまで繁殖している印象はありませんが、アメリカでは爆発的に繁殖して生態系破壊の危険性が出ています。クズがアメリカに初めて持ち込まれたのは1876年のフィラデルフィア万国博覧会です。明治政府が日本館を出展した際に庭園装飾として使用しました。それをきっかけに、東屋やポーチなどの装飾として人気になり、家畜の飼料としてもよく輸出されるようになりました。1930年代に大量のクズの種子がテネシー川流域の土砂流出を防ぐ目的で日本からアメリカへ輸出されました。期待通りその強い繁殖力により荒れ地はまたたく間に緑に覆われました。クズの根からはデンプンも取れるので、当時は大変喜ばれていたそうです。しかし、クズの繁殖が制御を超えた結果、大地はクズで覆われて他の植物が光合成をできず、クズ以外の植物が枯れてしまう事態に発展してしまいます。木にも巻き付いて覆い尽くすと、重さで枝が折れ光合成がうまくできず、やがて木も枯れてしまいます。厄介なことに地上部のつるを刈り取っても地下に根が残っていればすぐに再生します。今ではクズは「グリーンモンスター」と呼ばれ、クズしか生えない土地は「グリーンデザート(緑の砂漠)」と呼ばれています。Kudzuで画像を検索すると、クズで覆われた車や街灯、家や森など深刻な被害の状況を見ることができます。

クズの葉は民間療法では山歩きなどで怪我をしたときの傷の止血に用いられていました。クズの花は葛花(かっか)と言う生薬になり、二日酔いなどに使われます。代表的な漢方薬に葛花解酔湯(かっかげすいとう)があります。

クズは厄介者な雑草とされることもありますが、古来より現代にいたるまで我々の生活には欠かすことができない大変身近な有用植物です。

胃が冷えている方や、発汗が多い方は使用を避けたほうがよいです。