川芎(せんきゅう)

基原

セリ科Umbelliferaeのマルバトウキ属植物Ligusticum chuanxiong Hortorumの根茎。日本産は同科のセンキュウCnidium officinale Makinoの根茎

性味

辛、温

帰経

肝・胆・心包

効能・効果

①活血行気
②祛風止痛

主な漢方薬

四物湯(しもつとう)
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
治打撲一方(ちだぼくいっぽう)
川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
独活寄生湯(どっかつきせいとう)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
女神散(にょしんさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
温経湯(うんけいとう)
その他多数の漢方薬に配合

特徴

センキュウは中国原産と推定されている多年生植物です。センキュウは小さな花をつけますが、結実しない雑種性の植物のため、増殖は株分けによって行われています。根茎は塊状で特異な芳香があり。わずかに苦い味がします。

日本へは江戸時代に中国から渡来しました。多くの生薬は海外からの輸入品が使用されていますが、川芎のほとんどは国内から供給されています。暖かい気候での生育はよくないため、夏にあまり気温が上がらない北海道で主に栽培されていますが、東北や奈良県などでも栽培されています。川芎は植物学的には同じでも、栽培地によって形状や味が異なります。なぜ産地によって形状が異なるのかはっきりとした理由はわかっていません。同じように栽培地によって形状が異なる生薬に沢瀉(たくしゃ)があります。

セリ科植物は分類が難しい物が多く、日本産の川芎の原植物はセンキュウ(ハマゼリ属)となっていますが、中国産のものはマルバトウキ属の植物が規定されています。葉の形状から両者は明らかに別の植物ですが、分類に重要な果実ができないことから解明が極めて困難になっており、本当に分類学的に属が異なる植物なのか未だに結論は出ていません。中国薬典の川芎は、日本では「唐川芎」と呼ばれて区別されており、局方に適合しません。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に「芎窮(きゅうきゅう)」の名前で記載されています。四川省産のものが優秀とされたため、川芎と呼ばれるようになりました。「藭」や「芎」の字は、葉柄が弓状に曲がった様を表すものと考えられています。

肥大し、外面が暗褐色、内面が黄白色で充実し、においや味が強いものが良品とされています。結節の節間が延びて細長い根茎となり、小さな塊状根茎が数個連なっているものは「そろばん」と呼ばれ品質が劣るとされています。

瘀血(おけつ:血流が悪い状態)を改善する活血化瘀薬(かっけつかおやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に延胡索(えんごさく)鬱金(うこん)、蘇木(そぼく)、降香(こうこう)、丹参(たんじん)、桃仁(とうにん)、紅花(こうか)牛膝(ごしつ)水蛭(すいてつ)などがあります。

気血瘀滞による月経不順・無月経・月経痛・難産・胎盤残留などに用いられます。代表的な漢方薬に、当帰(とうき)や熟地黄(じゅくじおう)と一緒に配合された四物湯(しもつとう)があります。肝鬱気滞・血瘀の胸脇痛には、柴胡(さいこ)香附子(こうぶし)などと一緒に使用します。代表的な漢方薬に、柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)があります。瘀血痺阻心脈による狭心痛には、紅花や丹参などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)があります。火毒壅盛の気滞血瘀による癰疽腫痛(皮膚化膿症など)には、当帰や穿山甲(せんざんこう)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、透膿散(とうのうさん)があります。打撲外傷による内出血の腫脹・疼痛には、当帰や桃仁と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、折衝飲(せっしょういん)や治打撲一方(ちだぼくいっぽう)があります。

頭痛や風湿痺痛に対する良薬であり、とくに頭痛には風寒・風熱・血虚・気虚・血瘀を問わず使用できます。風寒の頭痛には、白芷(びゃくし)や防風(ぼうふう)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)があります。風熱の頭痛には、菊花(きくか)や白僵蚕(びゃくきょうさん)と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、川芎散(せんきゅうさん)があります。風湿の頭痛には、羌活(きょうかつ)や独活(どっかつ)、防風(ぼうふう)などと一緒に使用されます。代表的な漢方薬には、羌活勝湿湯(きょうかつしょうしつとう)があります。血虚の頭痛には、養血の当帰・白勺・熟地黄や、散風の蔓荊子(まんけいし)・菊花などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬には、加味四物湯(かみしもつとう)があります。風寒湿痺の関節痛には、防風や細辛(さいしん)、独活などと一緒に使用されます。代表的な漢方薬に、独活寄生湯(どっかつきせいとう)があります。

辛温昇散であり、過量に用いると真気を走泄させる弊害があるので、陰虚虚弱で労熱多汗を呈する場合には禁忌です。気逆嘔吐・肝陽頭痛・月経過多などには使用すべきではありません。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

LINEで完結♪
オーダーメイド漢方治療

LINEで完結♪
オーダーメイド漢方治療

薬研猫&鍋猫

漢方専門の薬剤師があなたに
ぴったりの漢方薬をご提案

まずはLINEより無料の
体質診断をしてみましょう!

初回限定

桃華堂オリジナル缶プレゼント!

LINE相談について詳しくはこちら ↓