治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)
組成
川骨(せんこつ)・樸樕(ぼくそく)・川芎(せんきゅう)・桂枝(けいし)・丁子(ちょうじ)・大黄(だいおう)・甘草(かんぞう)
効果
打撲によるはれ及び痛み
効能
通陽活血化瘀
主治
打撲・ねんざの疼痛
方意
治打撲一方は日本で作られた処方です。駆瘀血剤の仲間であり、骨折や打撲による腫脹疼痛に用いる方剤です。
診断のポイントは打撲による腫れや痛みです。
川骨は打撲時の急性瘀血(血液が打撲によりうっ血した状態)を改善します。桂枝と丁子は、血を運ぶためのエネルギー循環(気の流れ)も同時に正して改善を早めます。下剤である大黄が入っているのは、打撲による急性瘀血を下すことで分解・排除を早めるためです。甘草は全体の調整と消炎・鎮痙作用を担っています。
基本的には外傷性とうっ血や打撲による痛みや腫れを改善させる処方です。初期よりもやや日数が経過して疼痛が残る場合に適応します。
打ち身・捻挫のひどい腫れや痛みには、経験的に治打撲一方と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の併用がよく行われます。
下剤が入っているために便が緩くなる可能性があります。
類方鑑別
桃核承気湯(とうかくじょうきとう):
体力のある方の打撲で、皮下出血・便秘傾向があり、のぼせ・頭痛・精神神経症状と共に下腹部に抵抗・圧痛が認められる場合に用います。
通導散(つうどうさん):
同様に体力のある方の打撲で、皮下出血・便秘傾向があり、心窩部の苦満感・圧痛などを伴う場合に用います。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):
体力中等度の方で、打撲は比較的軽度で下腹部の抵抗・圧痛を認める場合に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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