めまい

めまいに使用する漢方薬

中医学ではめまいを「眩暈(げんうん)」といい、「眩=目がくらむこと」「暈=頭がくらくらすること」という意味があります。男性よりも女性に多いとされ、めまいは一人ひとり感じ方も様々であり、耳鳴りなどの症状をともなうこともあります。

めまいの原因は多岐にわたりますが、五臓で分類すると腎系肝系脾系に分けることができます。


タイプ別の解説

1. 腎系のめまい

「腎」は体内の水分循環をつかさどるとともに、耳とつながっている臓腑でもあります。腎系のめまいは、内耳や平衡器官に障害が出ることによるめまいです。「腎」は加齢により誰しもが衰えてしまう臓腑ですが、生活習慣の乱れや慢性病などが長期にわたることでも不調が出ます。

よく使われる漢方薬

2. 肝系のめまい

めまいと「肝」は深い関連性があり、神経の使いすぎ、目の使いすぎ、寝不足などによって「肝」がつかさどる自律神経のコントロール機能が失調し、その結果、脳や内耳への血液の流れにも障害が生じてめまいが発生します。ストレスやイライラを強く受けた時にふらつきを起こしたり、地面が揺れる感じや耳鳴りを伴う場合があります。

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3. 脾系のめまい

胃腸や消化器系が失調することで胃内に余分な水分が停滞することで引き起こされるめまいです。胃腸や消化器系が弱い、暴飲暴食、冷たいものの摂りすぎなどが原因となります。吐き気や重だるさを伴う場合があります。

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実際にあった症例

当店に寄せられた『喜びの声』の中から、このページの症状と関連のある事例についてご紹介します。

50代・女性

この方は長年頭痛に悩まされており、それが悪化して吐き気やめまいを伴うようになったためにご相談に来られました。ほてりもあり、体内には熱がこもっている様子がうかがえ、この熱が症状の原因となっているようでした。
気になった生活習慣として、普段の水分補給に緑茶やカフェオレなどを飲んでいることがあげられました。これらに含まれるカフェインには利尿作用があり、水分補給のつもりがかえって体内の水分が失われる恐れがあります。水分には体の熱を冷ます働きがあるため、水分が足りなくなると熱が過剰になってしまいます。
漢方薬で熱を冷ますとともに、カフェインの含まれていない飲み物で水分補給をしていただいたところ、始めの2週間で頭痛が軽減。めまいやほてりも徐々に改善され、2ヶ月ほどで治療を終了しています。

40代・女性

この方は低気圧に伴う諸症状に悩まされており、その一つにめまいがありました。特に梅雨の時期になると、熱がこもって貧血のようにふらふらするとのことでした。
原因として考えられたのは、体の中で作られる熱の偏在でした。胃腸が冷えているのを体が温めようとして、そうして生まれた熱が体表や上半身に伝わることで「外は暑く中は寒い」といった熱のアンバランスを引き起こしているようでした。
お腹をあたためて胃腸を養う人参湯(にんじんとう)を中心に処方したところ、熱のバランスが改善して症状も消えていきました。治療後初めて迎えた梅雨では大きく体調を崩すこともなく、楽に過ごすことができたと喜んでもらえました。

50代・女性

この方は、朝起きたときにふわふわとしためまいが出るとのことでご相談に来られました。舌を拝見すると、胃腸の弱りや水分代謝の乱れを確認できました。
そのため、漢方薬はめまいによい滋腎通耳湯(じじんつうじとう)に加え、水分代謝を調節する五苓散(ごれいさん)をお渡ししました。
約1ヶ月でめまいはほぼなくなり、胃腸の調子もよくなりました。

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