半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

組成

半夏(はんげ)・天麻(てんま)・黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・陳皮(ちんぴ)・麦芽(ばくが)・乾姜(かんきょう)黄柏(おうばく)生姜(しょうきょう)

効果

胃腸虚弱で下肢が冷え、めまい、頭痛などがある者

効能

化痰熄風・健脾祛湿

主治

風痰上擾:
めまい・頭痛・悪心・嘔吐・胸苦しいなど

方意

脾気虚に伴うめまいに対する代表的な方剤です。

胃内の水分代謝の異常を「水毒」と呼びますが、半夏白朮天麻湯はまさしくこの水毒症状を正すことでめまいや頭痛を改善します。脾胃の虚した方の胃内停水が水毒となって上衝し、肝陽化風とあいまって、発作性の頭痛と眩暈を引き起こします。

制吐作用にも優れるので、ぐるぐると回るような回転系のめまいで吐き気を伴う時などに非常に有効です。

診断のポイントは、眩暈・頭痛・腹部軟弱・胃弱・疲れやすいなどです。

胃内に停滞する水分がめまいを引き起こすという考えに基づいて、胃内の余剰な水分をさばく利水作用を持つ生薬(白朮・茯苓・沢瀉)に、めまいや頭痛を正す天麻を加え、補気健脾作用を持つ人参・黄耆・乾姜・陳皮・黄柏・麦芽・生姜を合わせています。

痰を取り除く半夏が入っているため、胃腸虚弱者が冷えにより水分を胃内に停滞させ、痰となり、それが原因となってめまいを起こした場合に非常に有効です。

胃内停水が強い場合には、蒼朮(そうじゅつ)を加えるか、白朮を増量します。

現在エキス製剤で使用されている半夏白朮天麻湯は「脾胃論(ひいろん)」に記載されていたものを参考にしており、原典では神麹(しんきく)が加わっています。他にも「医学心悟(いがくしんご)」にも半夏白朮天麻湯が記載されており、こちらは脾胃論の半夏白朮天麻湯から黄耆・人参・沢瀉・神麹・麦芽・乾姜・黄柏を除いています。脾胃論の半夏白朮天麻湯の方が、脾気虚・生湿に対する配慮が強められており、風痰上擾で脾気虚が顕著な場合に適しています。

類方鑑別

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
冷え症で項や肩がこり、反復性に激しい頭痛が起こり、悪心・嘔吐を伴う場合に用います。

五苓散(ごれいさん)
頭痛の症状は呉茱萸湯と似ていますが、冷え症ではなく、項や肩のこりも少なく、口渇・尿量減少の傾向がある場合に用います。

釣藤散(ちょうとうさん)
中年以降の方で、高血圧の傾向があり、とくに早朝時に頭痛を訴えることが多く、めまい・耳鳴り・のぼせなどの症状を伴う場合に用います。

葛根湯(かっこんとう)
体力中等度以上の方で胃腸症状がなく、項や肩がこり、頭痛を訴える場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。

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