六味地黄丸(ろくみじおうがん)

組成

山薬(さんやく)熟地黄(じゅくじおう)山茱萸(さんしゅゆ)山薬(さんやく)・牡丹皮(ぼたんぴ)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)

効果

疲れやすくて尿量減少または多尿で、時に口渇があるものの次の諸症:
排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ

効能

滋陰補腎・瀉火

主治

腎陰虚・火旺:
腰や膝がだるく無力・頭のふらつき・めまい感・耳鳴・聴力減退・盗汗・遺精・消渇・身体の熱感・手のひら足のうらのほてり・歯の動揺・踵部痛・失禁など。あるいは小児の発育遅滞

方意

八味地黄丸(はちみじおうがん)より桂枝(けいし)と附子(ぶし)を除いた処方で、原著では地黄丸(じおうがん)と記されていました。腎の働きが弱い、いわゆる腎虚の基本処方です。腎虚の症状と共に虚火上炎するため熱証、燥証(虚熱)を呈します。

診断のポイントは、易労・頭重・耳鳴・腰から下の脱力感・尿不利・便秘・盗汗・口渇・五心煩熱・虚熱の症状などです。

六味地黄丸はもともと発育不全(言語の遅れ・歯や髪の毛の発育・体や運動能力の不全など)の子供のために作られたという説もあります。先天不足の小児では、精虚で骨・髄・脳の正常な発育ができないので、歯遅・行遅・智遅・語遅・泉門閉鎖遅延などの「五遅」の症候が現れます。

腎虚を正すことはアンチエイジング(尿トラブル・脱毛・足腰の弱り・記憶力低下・ほてり・のぼせ・体の痩せなど)に直結するため老化現象も対象に含まれます。ここに腎虚の病態が加わった症状を改善でき、非常に汎用性の高い処方です。

熟地黄・山茱萸・山薬は、結びついて腎の働きを改善しながら、潤いをつけることで陰虚も改善します。三陰を併補して滋補腎陰の効果をつよめるため、この3薬の働きを「三補」といいます。牡丹皮・沢瀉・茯苓は、補われた潤いを巡らせたり、腎の働きが悪いせいで余剰に発生していた熱を冷ましたりします。この3薬の働きを「三瀉」といい、「三補三瀉」の併用により、滋補して滋滞せず、降泄して傷正せず、滋補腎陰の効果をつよめます。

六味地黄丸をベースに、いくつかの生薬をプラスした様々な類似処方があります。六味地黄丸に五味子(ごみし)を加えた都気丸(ときがん)、麦門冬(ばくもんどう)・五味子を加えた味麦地黄丸(みばくじおうがん)、知母(ちも)・黄柏(おうばく)を加えた知柏地黄丸(ちばくじおうがん)枸杞子(くこし)菊花(きくか)を加えた杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)などです。

六味地黄丸は陰虚陽盛の薬、八味地黄丸は陽虚陰盛の薬です。

類方鑑別

八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎陽虚の主方です。身体機能が低下して、特に下半身の冷え、脱力などが著しい場合に用います。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
精力減退・遺尿など腎虚の症状と、不安・不眠などの精神神経症状が強いです。虚熱の症状はありません。小腹弦急と臍の上辺りの動悸をみとめます。

五苓散(ごれいさん)
口渇・多汗・尿不利・時に悪心嘔吐(水逆)があります。

猪苓湯(ちょれいとう)
口渇・頻尿・残尿感・排尿痛・下焦で水熱が互いに結び陰液を傷つけた場合に用います。

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
虚証の方で、軽い排尿痛や残尿感などに加え、神経過敏症状を伴う場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

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