苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
組成
茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・桂枝(けいし)・甘草(かんぞう)
効果
めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸症:
神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛
効能
温化水飲・健脾利湿
主治
水飲・脾陽不足:
胸脇部が張る・咳嗽・呼吸促迫・めまい・動悸など
方意
4種類の生薬から構成されるシンプルな漢方薬です。水毒の上衝と気の上逆ための心悸亢進、呼吸促迫及び起立性眩暈を来した場合に用いられます。
診断のポイントは、起立性眩暈・心悸亢進・臍上悸を触れるなどです。
水飲を温化して除くと同時に、健脾利湿により本治して水飲の生産を防止します。
服用の目安は「心」と「脾」の虚弱な方で、体内に熱エネルギーが不足し、胃内に水分が停滞し、それが原因でめまいやふらつき、頭重などを訴えることもあります。同時に「心」の不調による漠然とした不安感、精神状態が不安定になったり、動悸を訴えることも指標の一つです。
茯苓と白朮で健胃機能+利水作用を発揮、桂枝で冷えている体に熱エネルギーを補充します。甘草には、生薬同士を結びつけ、胃腸機能の改善効果もあります。全体で温化水飲・健脾化湿の効能が得られます。
熱を補ってエネルギーを作り出し、胃腸機能を回復させて余剰な水分を胃内から除去します。働きもシンプルですが、生薬数が少ないぶん使いやすく、効果の発現も速い優れた漢方薬の一つです。
帰脾湯(きひとう)と同じく「心」「脾」を正しますが、利水の力に重きを置いているため、めまいやふらつきを強く訴える方には帰脾湯よりも苓桂朮甘湯の方が向いています。
腎陽虚による水飲には、八味地黄丸(はちみじおうがん)が適用します。
嘔吐を伴うときには半夏(はんげ)・陳皮(ちんぴ)を、脾虚がつよければ人参(にんじん)を加えます。
類方鑑別
炙甘草湯(しゃかんぞうとう):
比較的体力の衰えている方で、動悸を主目標とし、息切れ・頻脈・足裏のほてり・皮膚枯燥・口渇などを伴います。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):
胃腸症状が著明で、冷え性で、頭痛・頭重感とともにめまいを訴えます。
五苓散(ごれいさん):
口渇・尿量減少があって、めまい・頭痛・嘔吐などがあります。
真武湯(しんぶとう):
立ちくらみ・身体動揺感がありますが、手足が冷えて下痢しやすいです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):
動悸・めまいを訴えることがあります。貧血と浮腫傾向があります。
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう):
心下悸がありますが、下焦の寒飲で、腰から下の冷えが著明です。苓桂朮甘湯は水飲が上衝し、苓姜朮甘湯は水飲が下に沈降したものを治します。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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