石膏(せっこう)

基原

含水硫酸カルシウム鉱石。組成はほぼCaAO4・2H2O

性味

辛・甘、大寒

帰経

肺・胃

効能・効果

①清気分実熱(清熱降火・除煩止渇)
②清肺熱
③清胃火
④生肌斂瘡

主な漢方薬

白虎湯(びゃっことう)
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)
小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
五虎湯(ごことう)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
釣藤散(ちょうとうさん)
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
消風散(しょうふうさん)
木防已湯(もくぼういとう)

特徴

石膏は硫酸カルシウムを主成分とした鉱物で、天然の鉱山から採取できる「天然石膏」と、人工的に生成する「化学石膏」の2種類があります。科学石膏は化学反応でつくられるので不純物が入っていません。生薬として使用されるのは天然物であり、純粋な硫酸カルシウム・2水和物ではなくケイ素、アルミニウム、鉄などの化合物が少量含まれています。光沢のある白色の繊維状結晶塊で、砕くと針状もしくは繊維状の粉末となります。

硫酸カルシウムの2水和物を「軟石膏(なんせっこう)」、無水分を「硬石膏(こうせっこう)」と呼びます。軟石膏には繊維石膏と雪花石膏があります。生薬として用いられるのは主に繊維石膏であり、雪花石膏は彫刻材として用いられます。石膏を加熱して脱水すると結晶水が半減して白い粉末になります。これを「焼石膏(しょうせっこう)」と言い、傷口などに外用されます。

石膏細工として白墨・セメント・彫刻材料・医療用ギプス・黒板用チョークなど幅広く利用されています。防火性や遮音性に優れ、加工しやすいことから建材としても多用されています。よく建材として利用されている石膏ボードは建築物の壁や天井の下地、鉄骨の耐火被覆として使用されます。他にも豆腐の凝固剤やビールの添加物など、食品用途にも用いられています。

石膏自体はほとんど水に溶けませんが、石膏を添加した湯液の組成を調べると組成に変化が見られることから、他の生薬成分に影響を及ぼす働きがあると考えられています。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に分類され、色が白く、清らかで砕けやすく、繊維状に結晶がみられる水晶のようなものが良品とされています。

体にこもった熱を除去する清熱瀉火薬(せいねつしゃかやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に山梔子(さんしし)、知母(ちも)、栝楼根(かろこん)、竹葉(ちくよう)などがあります。

外感熱病の気分証で高熱・煩躁・口渇があり水分を欲する・汗が出るなどの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、知母や甘草(かんぞう)と一緒に配合された白虎湯(びゃっことう)があります。気分証に血熱をともなった気血両燔で紫黒色の斑疹を生じたときには、犀角(さいかく)生地黄(しょうじおう)、牡丹皮(ぼたんぴ)などと一緒に使用されます。代表的な漢方薬に、清瘟敗毒飲(せいうんはいどくいん)や化斑湯(かはんとう)があります。気分証の回復期の余熱未清で胸苦しい・口乾などには、竹葉や麦門冬(ばくもんどう)と一緒に配合された竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)が用いられます。

肺熱の呼吸促迫・咳嗽・胸苦しい・口渇などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、麻黄(まおう)や杏仁(きょうにん)などと一緒に配合された麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)があります。

胃火熾盛による頭痛・歯痛・口内炎などに用いられます。代表的な漢方薬に、黄連(おうれん)升麻(しょうま)と一緒に配合された清胃散(せいいさん)があります。陰虚の胃火上炎による歯痛・頭痛には、熟地黄(じゅくじおう)、麦門冬、牛膝(ごしつ)などと一緒に配合された玉女煎(ぎょくじょせん)が用いられます。

創傷・潰瘍・熱傷などの肉芽新生が悪く瘡口がふさがらないときに、石膏を加熱して脱水した焼石膏の粉末を外用します。

生用(生石膏)すると清熱瀉火に、焼いて用いる(焼石膏・熟石膏)と生肌斂瘡に働きます。

内服の場合は生石膏を粉砕して先煎し、徐々に温服します。

大寒で質が重いので、実熱以外には使用しません。胃寒食少には禁忌です。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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