栝楼根(かろこん)
基原
ウリ科CucurbitaceaeのキカラスウリTrichosanthes kirilowii Maxim.の肥大根の外皮を去ったもの
性味
甘・微苦・酸、微寒
帰経
肺・胃
効能・効果
①養胃有津・止渇
②清肺潤燥
③消腫排膿
主な漢方薬
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
特徴
キカラスウリはウリ科の植物で、つる性の多年草です。熟すと黄色の果実をつけます。
キカラスウリの根は栝楼根という生薬になります。栝楼根は「天花粉(てんかふん)」という別名があり、中国では主に天花粉の方で呼ばれています。天花粉はおしろいの原料やあせもの予防及び治療に用いられていました。デンプンを多く含むため、非常食としても活用されていたようです。
種子は栝楼仁(かろにん)という生薬になります。肺を潤して痰を除き、気のめぐりをよくする働きがあります。便通改善効果もあり、咳嗽や痰、胸の苦しさ、便秘、腫れ物などに用いられます。
体にこもった熱を除去する清熱瀉火薬(せいねつしゃかやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に石膏(せっこう)、知母(ちも)、山梔子(さんしし)、竹葉(ちくよう)などがあります。
栝楼根は胃や肺の津液を補う働きに優れ、熱病による口渇に用いられます。糖尿病などの口渇、ほてりにも有効です。体を潤す働きのある白虎湯(びゃっことう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)などに配合してもよいです。
肺を潤す働きがあり、肺熱による咳や乾燥性の咳に用いられます。代表的な漢方薬は柴胡(さいこ)や黄芩(おうごん)と一緒に配合されている柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)です。
炎症を押さえる働きがあり、乳腺炎や皮膚化膿症に用いられます。
栝楼根の味は甘酸微苦で性質は微寒です。漢方には「酸甘化陰(さんかんかいん)」という考えがあり、酸味と甘味を組み合わせて摂ると陰液(血と水)を補って、体を潤すとされています。また、苦味は熱を冷ます働きがあります。栝楼根は甘酸で体を潤し、苦寒で熱を冷ましているのです。
生薬の配合で混ぜると毒性が強く出やすい組み合わせを「十八反(じゅうはっぱん)」と言います。栝楼根もこの中に含まれており、配合禁忌とされている生薬は烏頭(うず)や附子(ぶし)です。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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