赤芍(せきしゃく)

基原

ボタン科PaeoniaceaeのベニバナヤマシャクヤクPaeonia obovata Maxim,シャクヤクP. lactiflora Pallasの根

性味

苦、微寒

帰経

効能・効果

①清熱涼血
②祛瘀止痛
③清肝泄火

主な漢方薬

犀角地黄湯(さいかくじおうとう)
涼血地黄湯(りょうけつじおうとう)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血府逐瘀丸(けっぷちくおとう)
折衝飲(せっしょういん)
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)
五淋散(ごりんさん)
石決明散(せっけつめいさん)
補陽還五湯(ほようかんごとう)

特徴

シャクヤクは華麗な花を咲かせる中国原産の多年草です。昔はキンポウゲ科でしたが、花の構造や染色体数など、様々な点でキンポウゲ科とは一致せず、現在はボタン科に分類されています。シャクヤクは日本には平安時代に中国から薬用として渡来し、江戸時代には赤や紫など鮮やかな色の花を咲かせる多数の園芸品種が作られました。昭和初期には約700品種が発表され、現在は3000品種以上あるとされています。薬用にするシャクヤクは根の収穫が目的なので、花が小型であまり園芸化の進んでいないものを使用します。また、根を太らせるために花は蕾のうちに取ってしまいます。

シャクヤクは調製法の違いや原料植物の違いにより「赤芍」と「白芍(びゃくしゃく)」に分けられ、効能も異なります。「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に分類されていますが、書物の中では赤芍と白芍の区別はされていません。宋の「図形本草(ずけいほんぞう)」ではじめて赤芍と白芍が分けられました。シャクヤクの根の外皮を剥きそのまま煮てから乾燥したものを白芍、外皮付きのまま乾燥したものを赤芍とすることもあれば、栽培品を白芍、野生品を赤芍とする場合もあります。「白は補にして赤は瀉、白は収にして赤は散」と言われており、白芍は養血斂陰・平肝に働くので補血・養陰に用いられ、赤芍は涼血活血・散瘀に働くので清熱・活血化瘀に使用されます。日本漢方では一般的に赤芍は用いられません。

火熱が血に及んで出血や発熱するものを治療する清熱涼血薬(せいねつりょうけつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に犀角(さいかく)・牡丹皮(ぼたんぴ)・生地黄(しょうじおう)があります。

赤芍は白芍と牡丹皮の中間的な作用があると言われており、瘀血の症状がある場合は白芍よりも赤芍の方が適しています。牡丹皮と赤芍は両者とも清熱涼血・活血散瘀の効能を持ち、併用されることも多いです。牡丹皮は涼血除蒸に優れ、血分実熱だけでなく陰虚発熱・虚熱骨蒸にも適するのに対し、赤芍は血分実熱だけに用いるほか、活血止痛・清肝火に優れているので肝熱目赤・肝鬱脇痛に使用されます。

熱入営血の夜間の発熱・皮下出血・吐血・鼻出血などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、犀角や生地黄と一緒に配合された犀角地黄湯(さいかくじおうとう)があります。血熱妄行による出血には、生地黄や牡丹皮と一緒に配合された涼血地黄湯(りょうけつじおうとう)が使用されます。

血瘀による腹腔内腫瘤や産後の瘀滞腹痛に用いられます。代表的な漢方薬に、桃仁(とうにん)や桂枝(けいし)と一緒に配合された桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や、当帰(とうき)や川芎(せんきゅう)と一緒に配合された血府逐瘀丸(けっぷちくおとう)があります。血熱による瘀滞で無月経・月経痛などを呈するときには、丹参(たんじん)、桃仁、益母草(やくもそう)などと一緒に使用されます。打撲損傷による腫痛・疼痛には、当帰や桃仁と一緒に配合された折衝飲(せっしょういん)が用いられます。皮膚化膿症の腫脹・疼痛にも、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)、山梔子(さんしし)などと一緒に使用されます。

肝火による目の充血・腫脹・疼痛に、菊花(きくか)夏枯草(かごそう)決明子(けつめいし)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、石決明散(せっけつめいさん)があります。肝鬱化火の脇痛には、柴胡(さいこ)香附子(こうぶし)鬱金(うこん)青皮(せいひ)などと一緒に用いられます。

血虚で瘀滞を伴わない方や、皮膚化膿症が自潰したのちには用いてはいけません。

生薬の配合で混ぜると毒性が強く出やすい組み合わせを「十八反(じゅうはっぱん)」と言います。赤芍もこの中に含まれており、配合禁忌とされている生薬は藜芦(りろ)です。藜芦は赤芍以外にも人参(にんじん)、丹参、西洋参(せいようじん)苦参(くじん)玄参(げんじん)細辛(さいしん)、白芍とも相反します。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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