桑寄生(そうきせい)
基原
ヤドリギ科SantalaceaeのヤドリギViscum album L. subsp. coloratum Kom.、アカミヤドリギ Viscum album L. subsp. coloratum Kom. f. rubroaurantiacum (Makino) Ohwi、オオバヤドリギLoranthus yadoriki Sieb.など各種植物の葉をつけた茎
性味
苦・甘、平
帰経
肝・腎
効能・効果
①祛風湿・養血・強筋骨
②補肝腎・安胎
主な漢方薬
独活寄生湯(どっかつきせいとう)
桑寄生散(そうきせいさん)
寿胎丸(じゅたいがん)
特徴
ヤドリギはエノキ、ブナ、ミズナラ、ケヤキやサクラなど落葉樹に寄生し、水分や無機養分を吸収することによって光合成を行う半寄生植物です。冬の落葉した木々に寄生して、緑の葉を付けている姿を見ることができます。果肉はもちのように粘りがあり、鳥黐(とりもち)として、小鳥や昆虫の捕獲に使われてきました。また、甘い果実は鳥が好んで食べるため、糞中の種子が他の樹皮に付着して新たな木に寄生します。
和名は「宿り木」又は「寄生木」で、まさしく樹の上を宿のように寄生して繁殖することを表しています。ヤドリギ科は1,300種もあり、桑寄生の基原となる植物も多数ありますが、主にヤドリギとアカミヤドリギが使用されています。日本国内では近年までヤドリギ科以外に菌類のサルノコシカケ科の菌体が利用されており、断面の赤黒いものを「梅寄生」、白いものを「桑寄生」と呼んでいました。特にウメの木につくものが珍重されていました。
桑寄生の名前の通り、本来の桑寄生はクワの老大木に寄生したものを指しています。中国では槲寄生、柳寄生、柿寄生、北寄生、黄寄生などがあり、様々な樹木に寄生したものが流通しています。
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に分類され、「桑上寄生」の名前で収載されています。
風湿邪を除く祛風湿薬(きょふうしつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に独活(どっかつ)、蒼朮(そうじゅつ)、威霊仙(いれいせん)などがあります。
肝腎不足の風湿痺による腰や膝がだるく無力・関節痛・運動障害などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、独活や牛膝(ごしつ)などと一緒に配合された独活寄生湯(どっかつきせいとう)があります。
精血不足による胎動不安(妊娠中の下腹部痛)・妊娠中の性器出血・習慣性流産などに用いられます。代表的な漢方薬に、菟絲子(としし)や続断(ぞくだん)、阿膠(あきょう)と一緒に配合された寿胎丸(じゅたいがん)があります。
祛邪(祛風湿)の力が強く、補養(益精養血・補肝腎)の力は弱いので、滋養薬としては使用しません。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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