続断(ぞくだん)
基原
マツムシソウ科トウナベDipsacaceaeのDipsacus asperoides C.Y Cheng et T.M.Aiの根
性味
苦・甘・辛、微温
帰経
肝・腎
効能・効果
①補肝腎・活絡止痛
②通血脈・続筋骨
③固経止崩・安胎
主な漢方薬
続断丸(ぞくだんがん)
特徴
続断は原植物に混乱の多い生薬であり、地域によって基原植物が異なります。中国ではマツムシソウ科のナベナやトウナベが基原植物となっており、トウナベは「川続断」と呼ばれています。韓国ではシソ科のオオバキセワタが使用されます。日本では主にノアザミの根が利用されており、「和続断」と呼ばれています。続断は骨折や外傷などの外傷を治すという意味で、同様の効果を持つものも同じように続断と呼ばれたため、上記以外の植物も続断として混同されていました。
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に分類されます。大きくて堅い宿根が良く、新根の柔らかいものは劣るとされています。色は赤く瘠せており、折れば烟塵の発するものが良品とされています。
陽虚を改善する助陽薬(じょようやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に鹿茸(ろくじょう)、冬虫夏草(とうちゅうかそう)、巴戟天(はげきてん)、肉蓯蓉(にくじゅよう)、杜仲(とちゅう)、菟絲子(としし)、淫羊霍(いんようかく)、韮子(きゅうし)、骨砕補(こつさいほ)などがあります。
続断と杜仲はどちらも補肝腎・安胎の効能をもち、腰痛脚弱・胎動不安などに用います。杜仲は補益に優れ強筋骨に働き、腎虚腰痛・筋骨無力にもっとも有効です。続断は通脈に優れ、跌打損傷に対する接続筋骨の要薬です。
続断と牛膝(ごしつ)は効能が似ていますが、牛膝は下行に優れ、続断は宣補に優れています。肝腎不足・下焦血分の風寒湿痺には両薬を同時に使用するとよいです。
肝腎不足・血脈不利の腰や膝がだるく痛む・下肢無力などの症状に、杜仲や牛膝などと一緒に用いられます。風寒湿痺の関節痛・こわばり・しびれなどの症状に、防風(ぼうふう)や烏頭(うず)などと一緒に使用されます。代表的な漢方薬に、続断丸(ぞくだんがん)があります。
打撲損傷・挫傷・捻挫・骨折などの症状に、乳香(にゅうこう)や没薬(もつやく)などと一緒に膏として外用します。
肝腎不足による不正性器出血あるいは妊娠中の性器出血・妊娠中の下腹痛に、熟地黄(じゅくじおう)・当帰(とうき)・阿膠(あきょう)・艾葉(がいよう)などと一緒に用いられます。
崩漏下血には炒用します。
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