味麦地黄丸(みばくじおうがん)

組成

熟地黄(じゅくじおう)山茱萸(さんしゅゆ)山薬(さんやく)・牡丹皮(ぼたんぴ)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・麦門冬(ばくもんどう)・五味子(ごみし)

効果

体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、ときにせき、口渇があるものの次の諸症:
からぜき、息切れ、下肢痛、腰痛、しびれ、排尿困難、頻尿、むくみ、高齢者のかすみ目、かゆみ

効能

滋腎潤肺・平喘止咳

主治

肺腎陰虚:
咳嗽・呼吸困難・潮熱・盗汗など

方意

味麦地黄丸は清時代の医学書である「医級(いきゅう)」に収載されており、腰痛や足にだるさがある方の息切れや空咳を改善します。八仙長寿丸(はっせんちょうじゅがん)という別名があり、その名の通り高齢の方の咳によく用いられていましたが、若い方にも問題なく使用できます。

味麦地黄丸は腎虚の代表処方である六味地黄丸(ろくみじおうがん)に、肺を引き締めて咳を抑える五味子と、咳を止めて痰を除く麦門冬を加えた処方です。五味子と麦門冬の組み合わせは肺の津液を補い、喘咳を治すとされ、生脈散(しょうみゃくさん)など他の処方でも見られます。

咳の治療であるのに「腎」を補うのは、「腎」の働きの一つに「腎は納気を主る」とあるためです。漢方では、正常な呼吸は「肺」と「腎」の共同作業によって維持されていると考えられています。

腎陰虚による口の乾きや乾性の咳、呼吸困難、皮膚のかさつきや、肺陰虚による喘息様の咳に用いられます。

漢方では「肺」と皮膚に密接な関係性があると考えており、肺の津液不足は肌の乾燥として現れます。そのため、肌の乾燥を目標として味麦地黄丸を用いるとよいです。加齢によるドライスキンや痒み、乾燥ジワなどにも応用できます。

類方鑑別

六味地黄丸(ろくみじおうがん)
皮膚はやや乾燥し、虚熱の症状があります。

杞菊地黄丸(こぎくじおうがん):
六味地黄丸に明目作用の枸杞子(くこし)菊花(きくか)を加えた処方です。疲れ目・かすみ目・目の充血などの症状に用います。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
八味地黄丸(はちみじおうがん)にむくみ、しびれをとる牛膝(ごしつ)車前子(しゃぜんし)を加えた処方です。冷えやすい方の下肢痛、腰痛、しびれなどの症状に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

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