紫蘇葉(しそよう)・蘇葉(そよう)

基原

シソ科LabiataeのシソPerilla frutescens Britton var. acuta Kudo、またはその他近縁植物の葉で、ときに枝先を混じる

性味

辛、温

帰経

肺・脾・胃

効能・効果

①散寒解表
②理気寛中
③行気安胎
④解魚蟹毒

主な漢方薬

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
藿香正気散(かっこうしょうきさん)
神秘湯(しんぴとう)
参蘇飲(じんそいん)
柴朴湯(さいぼくとう)
香蘇散(こうそさん)
杏蘇散(きょうそさん)
黄連蘇葉湯(おうれんそようとう)

特徴

シソは古くに中国から渡来した一年草です。縄文前期にあたる5000年前の貝塚からシソの種子が発見されていますが、本格的な栽培が始められたのは平安時代と考えられています。食用に栽培されるほか野生化もしており、一度植えるとこぼれ種で毎年繁殖し、畑のふちや庭でみられることもあります。独特の香りで料理に多用される薬味であり、日本食には欠かせない存在です。

シソには種類が多くありますが、大きく「青紫蘇」と「赤紫蘇」に分けられます。刺し身のつまや酢の物などで「大葉」として知られるのが青紫蘇で、梅干しや紅生姜などの風味や色付けに使われるのが赤紫蘇です。料理で使われる機会が多いのは青紫蘇ですが、生薬として使われるのは赤紫蘇の方です。しかし、青紫蘇も刺し身に添えられていることから、赤紫蘇と同様に魚介類の食中毒に対する解毒効果があると昔から考えられています。

名前の由来は、中国の後漢時代に活躍した華陀(かだ)という医師が、蟹の食中毒で瀕死状態にあった若者に紫蘇を煎じて与えたところ見事回復したことから、「死人を蘇らせた紫色の薬草」ということで「蘇葉」と名付けられました。

シソの果実を「蘇子(そし)・紫蘇子(しそし)」、葉を「紫蘇葉・蘇葉」、茎枝を「蘇梗(そこう)」と言います。蘇葉は発散風寒に、蘇梗は理気解鬱・安胎にそれぞれ優れていますが、一般的には葉と梗をまとめて蘇葉としています。

「名医別録(めいいべつろく)」に「蘇」の名前で中品に収載されており、「気を下し、寒中を除くを主る」と記されています。特に種子の効果が優れていると記されており、葉については触れられていませんでした。葉について初めて明記されたのは宋代の「図経本草(ずけいほんぞう)」で、神経症には茎葉が、のぼせには種子の方が優れているとして、茎葉と種子では薬効が異なると記しています。

保存により気味が減じやすいので、新しいものが良品とされています。両面または片面が紫色で、香りのよいものを使用します。

辛温の薬で温め風寒の邪を体表から発散させる辛温解表薬(しんおんげひょうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に麻黄(まおう)、桂枝(けいし)羌活(きょうかつ)、防風(ぼうふう)、細辛(さいしん)辛夷(しんい)生姜(しょうきょう)などがあります。

風寒表証の頭痛・発熱・悪寒・無汗などの症状に、荊芥(けいがい)や防風と一緒に用いられます。

胸苦しい・痞え・食欲不振などの気滞の症状を伴う場合は、香附子(こうぶし)や陳皮(ちんぴ)と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、香蘇散(こうそさん)があります。

咳嗽・息苦しいなどの肺気不降の症状を伴う場合には、杏仁(きょうにん)桔梗(ききょう)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、杏蘇散(きょうそさん)があります。

脾胃気滞による腹満・悪心・嘔吐などに用いられます。代表的な漢方薬に、藿香(かっこう)や半夏(はんげ)と一緒に配合された藿香正気散(かっこうしょうきさん)があります。

痰凝気滞の梅核気(ばいかくき)による咽喉の梗塞感に用いられます。代表的な漢方薬に、半夏や厚朴(こうぼく)と一緒に配合された半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)があります。

気滞・気鬱による胎動不安(切迫流産)や妊娠悪阻に用いられます。代表的な漢方薬に、黄連(おうれん)と一緒に配合された黄連蘇葉湯(おうれんそようとう)があります。

魚介類の中毒で悪心・嘔吐・下痢・腹痛の症状がある場合に、単味を煎服するか藿香・陳皮・半夏・生姜などと一緒に用います。

蘇葉は麻黄や桂枝ほどの発汗力はないので、表寒の軽症に用います。蘇梗は理気解鬱に働くので気鬱や梅核気にも有効であり、性質が穏やかなので虚弱者にも安心して使用できます。

気滞による胎動不安に対して、気機を通暢することによって効果を表します。血熱や気虚の胎元不固で生じる胎動不安には用いるべきではありません。

長時間煎じてはいけません。

辛散耗気するので、気虚・表虚には用いません。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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