蒼朮(そうじゅつ)

基原

キク科CompositaeホソバオケラAtractylodes lancea De Candolle,シナオケラA. lancea De Candolle var. chinensis Kitamuraの根茎

性味

辛・苦、温

帰経

脾・胃

効能・効果

①祛風除湿
②燥湿健脾
③散寒解表
④除障明目

主な漢方薬

二朮湯(にじゅつとう)
薏苡仁湯(よくいにんとう)
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
平胃散(へいいさん)
消風散(しょうふうさん)
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
分消湯(ぶんしょうとう)

特徴

ホソバオケラは中国華中東部に分布し、山裾の明るい低木林や草地に自生する多年生草です。名前の由来は葉が細いことからきていると言われています。江戸時代に日本へ伝来し、佐渡島で栽培されていたことから、サドオケラ(佐渡蒼朮)とも呼ばれています。現在日本では一部が商業目的ではなく保存目的で栽培されています。

蒼朮には特異なにおいがあり、僅かに苦味があります。この特有の香りはβ-オイデスモールとヒネソールの混合物で、長期保存していると結晶がしばしば表面に析出します。これが一見カビのように見えるため、誤って破棄されてしまうこともあります。蒼朮自体は防カビ効果が強いため、表面にカビが見えてもほとんどは有効成分の結晶です。結晶成分が多く析出するほど、品質が良い証拠になります。

日本では江戸時代に焚蒼(たきそう)といって、根茎に火をつけて煙を部屋に出させることで、梅雨時に衣服や和本などのカビや蚊などの虫害を防ぐことに使用されていました。

蒼朮は江蘇省山一帯のものが良質であると言われており、「芽蒼朮(芽朮)」と呼ばれています。中国北部で生産される蒼朮は主としてシナオケラを基原としており、天津に多く集荷されることから「津蒼朮」と呼ばれています。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に分類され、「朮」の名前で収載されています。「朮」は大きく白朮と蒼朮に分類され、白朮はオオバナオケラ、蒼朮はホソバオケラとシナオケラを基原植物としています。両種は同属植物ですが、根茎の形はかなり違っているので一見して区別することが出来ます。また香りにも違いがあります。どちらも薬効的には健脾と燥湿の効能を持っており、しばしば混同されることもありますが、健脾の力は白朮の方が優れ、燥湿の力は蒼朮が優れているとされています。構成生薬に「朮」と記載されている漢方薬は、蒼朮を使うか白朮を使うかは製薬メーカーが決めることができるため、同じ名前の漢方薬でも効能に違いが出る場合があります。また、五十肩など肩の痛みに使用される二朮湯(にじゅつとう)は、蒼朮と白朮の両方が配合されており、名前の由来にもなっています。

連珠状であり、質が充実し、横切面に斑点が多数みられ、芳香が強く、油性のものが良品とされています。

風湿邪を除く祛風湿薬(きょふうしつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に独活(どっかつ)、蒼耳子(そうじし)威霊仙(いれいせん)秦艽(じんぎょう)などがあります。
風湿痺・寒湿痺などによる関節や肢体の疼痛に防風(ぼうふう)や羌活(きょうかつ)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に二朮湯や薏苡仁湯(よくいにんとう)桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)などがあります。

湿熱痺の関節痛・発赤・腫脹・熱感などに、黄柏(おうばく)牛膝(ごしつ)と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に二妙散(にみょうさん)や疎経活血湯(そけいかっけつとう)があります。

湿困脾胃の腹満・胸苦しい・悪心・嘔吐・下痢などに用いられます。代表的な漢方薬に、厚朴(こうぼく)や陳皮(ちんぴ)などと一緒に配合された平胃散(へいいさん)胃苓湯(いれいとう)などがあります。

外感風寒の頭痛・無汗・発熱・悪寒などの症状に、白芷(びゃくし)や藁本(こうほん)と一緒に用いられます。

夜盲・青盲(視神経萎縮・中心性網膜炎など、外見が正常で視力減退をきたす眼疾)・内障(白内障など透光体の混濁)などに胡麻仁(ごまにん)などと一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、蒼朮丸(そうじゅつがん)があります。

生蒼朮がもっとも辛燥で、ふすまと炒した炒蒼朮はやや辛燥の性質が減弱しています。また、米のとぎ汁につけ黒色に蒸した製蒼朮がもっとも辛燥の性質が弱くなっています。

性質は苦温燥烈なので、陰虚内熱・気虚多汗には禁忌です。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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