八味地黄丸(はちみじおうがん)
組成
熟地黄(じゅくじおう)・山茱萸(さんしゅゆ)・山薬(さんやく)・茯苓(ぶくりょう)・桂枝(けいし)・牡丹皮(ぼたんぴ)・沢瀉(たくしゃ)・附子(ぶし)
効果
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症:
腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧
効能
温補腎陽
主治
腎陽虚:
腰や膝がだるく無力・腰痛・下腹部がひきつる・下半身の冷えや浮腫・尿量減少あるいは多尿・排尿困難など
方意
腎虚の代表的方剤として有名な処方ですが、正確には腎陽虚に用います。腎陽虚では身体諸機能の低下・循環不全により虚寒の症候が現れます。足腰が弱く冷え症の高齢者にこの証が多いです。
診断のポイントは、下半身機能低下・腰痛・足弱・足腰の冷え・排尿障害などです。
処方構成は六味地黄丸(ろくみじおうがん)に附子と桂枝をプラスした処方で、気・血・水を全て補う薬味を兼ね備えています。附子と桂枝は強い温性を持った生薬で、血管拡張作用・強心作用・鎮痛作用に優れており、冷え・じびれ・腰痛などの症状の改善に役立ちます。
六味地黄丸は体の潤いが不足した陰虚を改善する基本処方ですが、下肢を中心とする体の冷えの強い方には八味地黄丸の方がより効果的です。人によっては足裏のほてりを伴う場合もあります。
温性を持つ処方なので、強いほてりや熱感を普段から持つ方の使用には注意が必要です。
桂枝は通陽に、肉桂(にっけい)は温陽補腎に働くことから、陽虚が甚だしい場合は桂枝よりも肉桂を使用すべきです。
丸剤を作るときには熟地黄を乾地黄(かんじおう)に変え、蜂蜜で固めてお酒と共に服用します。
類方鑑別
六味地黄丸(ろくみじおうがん):
腎陰虚・虚熱の症状があります。
小建中湯(しょうけんちゅうとう):
虚労(倦怠感が著しい)、裏急(腹壁が薄く腹直筋の上の方が突っ張っている)があり、尿異常はありません。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):
精神減退・多尿など腎陽虚の症状がありますが、尿異常はありません。腹部の動悸があります。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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