猪苓湯(ちょれいとう)
組成
猪苓(ちょれい)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・阿膠(あきょう)・滑石(かっせき)
効果
尿量減少、小便難、口渇を訴えるものの次の諸症:
尿道炎、腎臓炎、腎石症、淋炎、排尿痛、血尿、腰以下の浮腫、残尿感、下痢
効能
利水清熱・滋陰
主治
水熱互結:
尿量減少・発熱・口渇があり水分を欲する・いらいら・不眠・咳嗽・悪心・嘔吐・下痢など
湿熱蘊結下焦(血淋):
排尿困難・排尿痛・血尿など
方意
膀胱湿熱と呼ばれる、膀胱や尿道に起きる炎症の治療を第一目的とする処方です。
診断のポイントは、小便難・下痢・排尿異常・下腹の緊満などです。
猪苓・沢瀉・滑石は、尿量の増加や抗炎症+抗菌に働いて炎症を鎮めます。茯苓・阿膠も尿量の改善、炎症で起きた血尿の改善(止血)に働き、膀胱内に潤いを補充して痛みを鎮静させます。
排尿痛がひどい時には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を合わせて鎮痛・鎮痙効果をプラスするとよいです。尿路結石による痛みにも使用可能で、膀胱炎以外にも汎用性の高い漢方薬です。
皮膚枯燥し、色つやが悪い等の血虚の証を伴う場合、あるいは慢性の血尿を伴う場合は猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)を用います。
猪苓湯と五苓散(ごれいさん)は共に小便不利の証があり、利水剤の猪苓・茯苓・沢瀉を用いています。しかし五苓散は外に表寒を兼ね、内に蓄水があり、陰盛で膀胱の陽気が不足しています。そのため、桂枝(けいし)・白朮(びゃくじゅつ)を加え、化気利水をはかります。猪苓湯は下焦に熱と水が結合し、さらに陰を傷り、膀胱の気が津液を化さない病態です。そのため、滑石・阿膠を配合して滋陰利水をはかっています。
類方鑑別
五苓散(ごれいさん):
口渇・尿量減少などはありますが、排尿痛・血尿などがなく、むしろ頭痛・めまいなどの水毒症状を呈する場合に用います。
八味地黄丸(はちみじおうがん):
口渇・軽度の排尿痛のほか、全身倦怠感、足腰の冷えや痛みを訴え、下腹部が触診上軟弱無力な場合に用います。
五淋散(ごりんさん):
局所症状は猪苓湯と似ていますが、体質的にはやや虚弱で、一部冷え症の場合に用います。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):
体力中等度以上で、膀胱・尿道・生殖器に急性または亜急性の炎症症状がより顕著である場合に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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