五苓散(ごれいさん)
組成
猪苓(ちょれい)・沢瀉(たくしゃ)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・桂枝(けいし)
効果
口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔い、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
効能
利水惨湿・通陽化気
主治
蓄水証(外有表証・内停水湿):
頭痛・発熱・口渇が強く水分を欲するあるいは水を飲むとすぐに吐く・尿量減少・舌苔が白・脈が浮など
霍乱:
突然の嘔吐・下痢・尿量減少など
水湿内停:
浮腫あるいは下痢で、尿量減少を伴う
痰飲(臍下水気):
臍下の動悸・水様物の嘔吐・めまいなど
方意
五苓散は代表的な利水剤(水滞を改善する方剤)です。猪苓・沢瀉・茯苓・白朮はいずれも水分代謝を調節する生薬で、胃腸機能を回復させる作用もあります。経枝は体を温め、血管を拡張させて血流を改善する効果があります。
口渇・尿量減少・発汗・水を飲むと吐くという症状が診断のポイントになります。
五苓散を使う一つの目安に「水逆(すいぎゃく)」という証があります。口の乾きが強く水を欲しますが、胃腸に水分の停滞があるため、水分を飲むと吐いてしまい、吐いた後にまた喉が渇くという症状です。
体内の水はけをよくしてくれるので、水分過多をおこしているときに重宝します。水分バランスが崩れて渇きとむくみ・めまいが混在している「二日酔いの朝」によく使います。
夏に冷たいものや生ものを暴飲暴食することで胃腸機能が低下することによって生じる嘔吐や下痢にも使われます。
津液不足による尿量減少や口渇には禁忌です。
類方鑑別
猪苓湯(ちょれいとう):
尿量減少・口渇という症状は同じですが、これらの症状に加えて排尿痛・排尿後の不快感・膀胱炎など泌尿器系の症状があります。
八味地黄丸(はちみじおうがん):
中年以降の比較的高齢の方に用いることが多く、口渇・頻尿・多尿・乏尿・排尿痛・夜間尿などの排尿異常を訴えます。その他にも倦怠感・腰痛・冷えなどの症状を伴います。腎の陽虚による症状に用います。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう):
冷え性の方で片頭痛があり、それに伴って嘔吐がある場合に用います。胃腸の冷えが原因です。
小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう):
悪心・嘔吐が特に激しい場合に用い、つわりにも使用されます。胃内停水が顕著です。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):
のぼせ・めまい・動悸などの症状があり、尿量減少・口渇・嘔吐の症状はそれほど顕著ではない場合に用います。胃腸虚弱の寒飲が原因です。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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