桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

組成

桂枝(けいし)・白芍(びゃくしゃく)・甘草(かんぞう)・蒼朮(そうじゅつ)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)・附子(ぶし)

効果

関節痛、神経痛

効能

調和営衛・散寒祛湿

主治

寒湿痺による関節痛・冷えなど

方意

寒と湿におかされた者に対する基本処方です。桂枝湯(けいしとう)に附子・蒼朮を加えた処方で、働きは桂枝湯に似ていますが、これに寒邪と湿邪による証が加わっています。

桂枝湯は体を温め、血管を拡張し、筋肉の痛みを緩和させる力があります。風邪の時の節々の痛みを治すメカニズムと同じです。蒼朮は利尿作用を持ち、体内の水分代謝を正して湿気による痛みを改善します。附子は桂枝湯の温性をさらに増強します。

診断のポイントは関節の変形などのない関節痛・筋肉痛・神経痛・手足の冷えを伴う疼痛などです。

冷えと湿気による痛みの特徴は、患部に「重だるさ」を感じることです。寒冷により増強するという特徴もあります。

患部に冷えとだるさを感じる、あるいは気温の低い時期や湿気の多い時期などに痛みが出るという場合でも使えます。逆に、患部の炎症が強い(痛みの原因が違う)時は、温性の薬剤は症状を増悪させる危険性があるので避けたほうがいいです。

むくみ・めまい・筋肉がぴくぴくひきつるなどの水湿の症状が顕著なときは、利水の茯苓(ぶくりょう)を加えた桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)を用います。

また、筋肉のこわばり・無汗などを伴う場合は、桂枝湯に代えて葛根湯(かっこんとう)を用いた葛根湯加朮附湯(かっこんとうかじゅつぶとう)を応用します。

類方鑑別

薏苡仁湯(よくいにんとう):
比較的体力があり、局所の熱感・腫脹・疼痛を伴う軽症の関節諸疾患に用います。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
薏苡仁湯に比べ更に体力がある方で、桂枝加朮附湯と同様の関節症状がありますが、冷え症の傾向がなく、関節炎・口渇・自然発汗などの症状がある場合に用います。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):
皮膚は概して色白で、筋肉軟弱・水太りの方で疲れやすく、多汗・尿量減少・下肢の浮腫などのある場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)