藁本(こうほん)

基原

セリ科UmbelliferaeのLigusticum sinense Oliv.の地下部。日本産(和藁本)はセリ科のヤブニンジンOsmorhiza aristata Makino et Yabeの地下部

性味

辛、温

帰経

膀胱

効能・効果

①散寒解表
②祛風勝湿・止痛

主な漢方薬

羌活防風湯(きょうかつぼうふうとう)
辛夷散(しんいさん)
清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)

特徴

藁本はセリ科植物の根茎に由来する生薬です。本来「藁」はワラを示す漢字ですが、藁本はワラの原料であるイネやムギとは全く関係がありません。名前の由来は、根の上部と地上部の下部が禾藁(かこう)に似ていることから「藁」と名付けられました。「本」とは根を意味しています。

中国で用いられているLigusticum sinenseは日本に自生していないため、当時はセリ科のカサモチが藁本として利用されていたようです。現在市場で流通している日本産の藁本(和藁本)は、ヤブニンジンを使用しています。一般的にセリ科植物には地上部の形が似ているものが多いためか、セリ科由来の生薬には異物同名品が多くあります。

藁本と和藁本の薬理学的な違いや使い分けは明らかになっていません。中国産の藁本は川芎(せんきゅう)と近縁な別植物であることから、薬効も川芎と似ていることが推測できます。

辛温の薬で温め風寒の邪を体表から発散させる辛温解表薬(しんおんげひょうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に麻黄(まおう)、桂枝(けいし)蘇葉(そよう)荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、細辛(さいしん)辛夷(しんい)生姜(しょうきょう)羌活(きょうかつ)などがあります。

太陽経の風薬とされ、頭痛、特に頭頂部の頭痛には不可欠の要薬とされています。代表的な漢方薬に、羌活や防風と一緒に配合された清上蠲痛湯(せいじょうけんちゅうとう)があります。

鼻炎や副鼻腔炎による頭痛に用いられます。代表的な漢方薬に、蒼耳子(そうじし)や白芷(びゃくし)と一緒に配合された辛夷散(しんいさん)があります。

月経に問題があるときや出産後に広く利用されますが、主要な薬能は悪寒や痛みの緩和です。

「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に分類され、風に関連する頭痛だけでなく「顔色を美しくする」のに有効であると記されています。

藁本・羌活・白芷・川芎はそれぞれ頭痛に効果のある生薬ですが、藁本は膀胱経に入り頭頂痛に、羌活は膀胱経に入り後頭痛に、白芷は陽明経に入り前額痛に、川芎は少陽経に入り側頭痛にそれぞれ有効であるといわれています。

温燥昇散に働くので、血虚頭痛には禁忌です。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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