薏苡仁湯（よくいにんとう）

組成

麻黄（まおう）・桂枝（けいし）・薏苡仁（よくいにん）・蒼朮（そうじゅつ）・当帰（とうき）・白芍（びゃくしゃく）・甘草（かんぞう）

効果

関節痛、筋肉痛

効能

祛風湿・散寒

主治

寒湿痺による冷え・疼痛・むくみ・しびれなどの症候

方意

薏苡仁湯は湿痺（湿邪による関節や軟部組織の病変）に対する処方です。関節腔、組織中の滲出液の停滞を治し、筋肉の緊張を緩和し血液循環障害を治します。

診断のポイントは、関節の腫脹疼痛・浮腫・四肢疼痛・運動障害などです。経過は慢性です。

燥湿除痺の蒼朮・薏苡仁が主薬で、辛温行水の麻黄と温陽の桂枝で散寒温通し、補血活血の当帰・白芍と和中の甘草で扶正祛邪します。

全体として、湿痺（着痺）による四肢や躯幹のしびれ・だるさ・運動障害・疼痛・水腫を治す方剤となっています。

類方鑑別

桂枝加朮附湯（けいしかじゅつぶとう）：
比較的体力がなく、冷え性の方で、四肢関節の腫脹・関節痛がある場合に用います。

麻杏薏甘湯（まきょうよくかんとう）：
筋肉痛・関節痛がありますが、初期で軽症の場合に用います。

越婢加朮湯（えっぴかじゅつとう）：
体力中等度以上で、発汗傾向・尿量減少・口渇などがあって、関節の腫脹・疼痛のある場合に用います。

防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）：
色白で筋肉が柔らかく、水太り傾向のある方で、汗をかきやすく、四肢の浮腫・関節の腫脹・疼痛などを訴える場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / ［新装版］中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解　漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。