秦艽(じんぎょう)
基原
リンドウ科Gentianaceaeのリンドウ属植物Gentiana macrophylla Pall., G. crassicaulis Duthie, G. dafurica Fisch.などの根
性味
苦・辛、平
帰経
胃・大腸・肝・胆
効能・効果
①祛風除湿・通絡舒筋
②化湿退黄
③退虚熱・除蒸
主な漢方薬
大秦艽湯(だいじんぎょうとう)
独活寄生湯(どっかつきせいとう)
特徴
秦艽はリンドウ科のオオバリンドウなどの根を乾燥した生薬で、外部形態の違いにより大きく3種類に分けられます。「秦艽」は長さ10〜30センチ、直径1〜3センチで円柱形の主根、「小秦艽」は長さ8〜15センチ、直径0.2〜1センチで円錐または円柱形の主根、「麻花艽」は数本の小さい根が麻花(中国の油で揚げたねじれたお菓子)のようにまとまってねじれています。秦艽の基原となる植物は他の同属植物に由来する「竜胆(りんどう)」とは異なり、根が太いのが特徴です。
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の中品に分類されています。
風湿邪を除く祛風湿薬(きょふうしつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に独活(どっかつ)、蒼朮(そうじゅつ)、蒼耳子(そうじし)、威霊仙(いれいせん)、などがあります。
秦艽と蒼耳子はどちらも祛風除湿に働きます。蒼耳子は温和で通達し、痺痛拘攣にも用いますが、風寒頭痛・鼻淵流涕・皮膚風湿瘙痒などによく使用されます。秦艽は平性で、風湿痺痛に寒湿・湿熱問わず応用でき、骨蒸労熱・小児疳熱・黄疸にも有効です。
風湿痺の関節痛・筋肉のひきつりに用いられます。代表的な漢方薬に、羌活(きょうかつ)や防風(ぼうふう)、川芎(せんきゅう)と一緒に配合された大秦艽湯(だいじんぎょうとう)があります。湿熱痺の関節疼痛・発赤・熱感などにも、防已(ぼうい)、忍冬藤(にんどうとう)、赤芍(せきしゃく)、牡丹皮(ぼたんぴ)などと一緒に用いられます。
湿熱黄疸に、茵蔯蒿(いんちんこう)、山梔子(さんしし)、金銭草(きんせんそう)などと一緒に用いられます。
陰虚の骨蒸潮熱に、青蒿(せいこう)、地骨皮(じこっぴ)、鼈甲(べっこう)、知母(ちも)などと一緒に用いられます。小児の疳熱(寄生虫による消化不良症の発熱)にも、黄連(おうれん)、檳榔子(びんろうじ)、鶏内金(けいないきん)などと一緒に使用します。
虚寒の疼痛には禁忌となっています。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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