決明子(けつめいし)

基原

マメ科LeguminosaeのエビスグサCassia obtusifolia LinneまたはコエビスグサCassia tora Linneの成熟種子

性味

甘・苦・鹹、微寒

帰経

肝・胆・腎

効能・効果

①清肝益腎・祛風明目
②潤腸通便

主な漢方薬

決明子散(けつめいしさん)
菊花決明散(きくかけつめいさん)
決明丸(けつめいがん)
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)

特徴

エビスグサは熱帯地方に広く分布しているマメ科の低木または草本です。アメリカ原産の一年草で、日本、中国、東南アジアで栽培されています。日本には江戸時代の享保年間に渡来し、本州から沖縄にかけて帰化植物として分布しています。和名の「エビスグサ」の由来は、「恵比寿草」の字が当てられることもあることから七福神の恵比寿に関連すると誤解されることがありますが、本来の由来は外国または異国から来たという意味で「夷草(えびすぐさ)」と名付けられたと言われています。種子が六面体であり、眺める角度によっては輪郭が六角形に見えることから「ロッカクソウ」という別名もあります。

決明子はエビスグサの種子を用います。名前の由来は、視力を回復するという意味の「明を開く」から来ています。「草決明(そうけつめい)」という別名もありますが、これはアワビの殻の薬物名である「石決明(せっけつめい)」との呼称の混乱を避けるためにつけられました。「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に収載品されていますが、漢方方剤にはあまり用いられず民間療法に多く用いられています。

一般的に決明子は「ハブ茶」の通称で知られています。ハブ茶は健康茶として、目の疲れの改善や便秘の解消、更年期の症状の緩和や高血圧改善などの効果を期待されています。本来ハブ茶というのは類似植物のハブソウの種子のことであり、決明子はその代用品でした。ハブソウの種子は望江南(ぼうこうなん)といいますが、収穫量が悪いためあまり市場には出回ることがなく、もっぱら決明子がハブ茶として流通しています。

完熟充実し、黒褐色で光沢のあるものが良品とされています。

熱を冷まして目の充血や痛みなど眼科疾患を治す清熱明目薬(せいねつめいもくやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に夏枯草(かごそう)、密蒙花(みつもうか)、木賊(もくぞく)、熊胆(ゆうたん)があります。

目の充血や疼痛・視力低下・頭痛・イライラ・怒りっぽいなどの症状に用いられます。代表的な漢方薬に菊花(きくか)や蔓荊子(まんけいし)と一緒に配合された洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)があります。

民間では整腸薬や弱い緩下薬として利用されています。瀉下活性の有効成分は大黄(だいおう)にも含まれるアントラキノン誘導体と考えられますが、大黄やセンナ葉に比べると効能は微弱です。緩下作用は弱いと言っても、胃腸虚弱の方や泥状~水様便の方には禁忌です。潤腸通便作用は、長時間煎じると効果がなくなります。