青皮(せいひ)
基原
ミカン科RutaceaeのオオベニミカンCitrus tangerine Hort. Ex Tanaka,コベニミカンC.erythrosa Tanaka,その他同属植物の成熟前の果皮
性味
苦・辛、温
帰経
肝・胆・脾・胃
効能・効果
①疏肝破気
②消積化滞
主な漢方薬
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
青皮丸(せいひがん)
天台烏薬散(てんだいうやくさん)
特徴
ミカンは我々にとってとても身近な植物で、寒い冬にコタツとミカンがある風景は日本の風物詩の一つです。日本にあるごく一般的なミカンはウンシュウミカンであり、ウンシュウミカンも青皮になりますが、中国で利用される青皮はオオベニミカンやコベニミカンが中心です。
同じミカンでも、皮を乾燥させる時期によって効能が異なり、別の生薬になります。熟す前の皮が緑の時期のものを「青皮」、熟して橙々色になったものを「橘皮(きっぴ)」、橘皮が時を経て古くなったものを「陳皮(ちんぴ)」と呼びます。橘皮・陳皮の薬効は緩和で軽くて上浮し、脾肺の気分を理し、行気健脾・燥湿化痰に優れています。青皮は性質が峻猛で沈降下降し、肝胆の気分を疏し消積化滞にも働きます。肝病が脾及び肝脾不和を生じた場合には、青皮と陳皮を併用するとよいです。
民間療法として、煎じ液にショウガと砂糖を入れ熱い内に飲み、就寝して汗をかかせると熱が下がるという使用法があります。
表面は暗青色で、なるべく青みが強く、裏面の海綿組織の部分は白色を呈し、気味が新しいものほど良品とされています。青皮は新しいものほどよいとされていますが、陳皮は古いものほど質がよいとされています。
気の流れをよくする行気薬(こうきやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に烏薬(うやく)、香附子(こうぶし)、木香(もっこう)、薤白(がいはく)、陳皮(ちんぴ)、檳榔子(びんろうじ)、枳実(きじつ)があります。
肝鬱気滞の胸脇部が張って痛む・憂鬱・いらいら・怒りっぽいなどの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、柴胡(さいこ)や香附子と一緒に配合された柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)があります。気鬱血瘀による肝腫・脾腫には、丹参(たんじん)、鼈甲(べっこう)、莪朮(がじゅつ)などと一緒に用いられます。肝鬱化火による乳腺炎には、蒲公英(ほこうえい)、栝楼根(かろこん)などと一緒に使用されます。
気滞痰凝による乳房の腫塊には、貝母(ばいも)、夏枯草(かごそう)などと一緒に使用されます。寒凝肝脈によるヘルニアなどの腫脹・疼痛に用いられます。代表的な漢方薬に、烏薬や木香と一緒に配合された天台烏薬散(てんだいうやくさん)があります。
食積による腹痛・腹満・腐臭のある噯気・呑酸などの症状に山査子(さんざし)、神麹(しんきく)、麦芽(ばくが)などと一緒に用いられます。
疏肝作用を高めたいときには、醋炒したほうがよいです。
性質が峻烈で元気を損傷するので、気虚の方には用いないほうがよいです。
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