西洋参(せいようじん)
基原
ウコギ科AraliaceaeのアメリカニンジンPanax quinquefolius L.の根
性味
苦・微甘、寒
帰経
心・肺・腎
効能・効果
①補気養陰・清火生津
特徴
アメリカニンジンは北アメリカ東部原産の薬用植物です。生薬名の別名として「花旗参」「西洋人参」「広東人参」などと呼ばれることもあります。「広東」とは中国の広東省のことですが、「広東」は取引された生薬市場から付けられており、原産地は北アメリカです。「花旗参」の「花旗」は中国におけるアメリカ国旗の旧称が由来となっています
17世紀頃になると海外にも中国の人参(にんじん)の優れた効能が伝わり、カナダで人参についての調査が行われ、現地民族の間で薬として使われていたアメリカニンジンが発見されました。このことが公表されると中国の買い付け商人がカナダに押し寄せ、アメリカニンジンは先住民により大量に収穫され中国に輸出されました。その結果、野生品はほとんどの地域で稀になっており、現在では中国でも栽培されています。西洋参が生薬として利用された歴史は浅いため、中国古典をもとに発展した日本漢方では西洋参を利用した処方はほとんどありません。
質が堅くて軽く、表面の横じわが緊密で香りの強いものを良品とします。現在は稀ですが北アメリカの野生品が最上質とされています。
気虚(エネルギー不足)を改善する補気薬(ほきやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に人参、党参(とうじん)、黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、山薬(さんやく)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、太子参(たいしじん)、膠飴(こうい)などがあります。
西洋参と太子参は両方とも虚証で熱がある場合に適していますが、太子参の補気養陰・清火生津の力は西洋参には及びません。そのため、気陰不足で火が盛んでないときに太子参を、気陰不足で火盛のときには西洋参を用います。軽症であれば太子参を西洋参の代用にするとよいです。
朝鮮人参と比較すると補気作用は弱く、滋陰清熱作用は優れています。朝鮮人参は微温性なのに対し、西洋参は涼性なので、熱証でほてりやのぼせなどが見られる場合には朝鮮人参よりも適しています。中国では白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)の人参の代わりに西洋参が使用されることもあるようです。
熱病による気津両傷の倦怠感・口渇などの症状に、単味あるいは鮮地黄(せんじおう)や麦門冬(ばくもんどう)などと一緒に用いられます。肺陰虚による咳嗽・呼吸困難・痰に血が混じるなどの症状に、天門冬(てんもんどう)、知母(ちも)、地骨皮(じこっぴ)、貝母(ばいも)などと一緒に使用されます。
生薬の配合で混ぜると毒性が強く出やすい組み合わせを「十八反(じゅうはっぱん)」と言います。西洋参もこの中に含まれており、配合禁忌とされている生薬は藜芦(りろ)です。藜芦は西洋参以外にも人参、丹参(たんじん)、沙参(しゃじん)、苦参(くじん)、玄参(げんじん)、細辛(さいしん)、赤芍(せきしゃく)、白芍(びゃくしゃく)とも相反します。
西洋参は別に煎じて服用します。鉄器や火炒には適しません。
陽虚・胃の寒湿の方には禁忌です。
※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。
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