生脈散(しょうみゃくさん)

組成

人参(にんじん)・麦門冬(ばくもんどう)・五味子(ごみし)

効果

次の場合の滋養強壮:
虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症

効能

益気生津・斂陰止汗

主治

気津両傷:
汗が多い・倦怠無力感・息切れ・喉の乾燥・口渇など

肺気陰両虚:
慢性のむせるような咳・少痰・息切れ・自汗・口乾など

方意

生脈散は気陰両虚証を治療する処方で、気の推動機能を強めると同時に、脈中の津液を増加させます。気津が回復すると脈が生じることから、「生脈散」と名付けられています。中国では肺や心臓が弱って脈が消えそうになった時などに、病院で生脈散の注射や点滴をすることもあるそうです。

構成生薬は人参・麦門冬・五味子の3味で、非常にシンプルな処方です。人参で不足している気を補い、固脱作用によって汗を止めます。麦門冬は甘寒の性味があり、体内の津液を補います。五味子は酸味による収斂作用で発汗を抑えます。

全体として、益気生津・止汗の効能を持ち、脱水を防止すると同時に元気をつける働きがあります。

汗をかきやすい方や発汗過多からくる全身倦怠感や、軽い脱水傾向のある方、夏バテ、エアコンや冷たい飲食による冷え症などにおすすめです。

生脈散は夏の暑い時期に用いられる印象が強いですが、夏だけでなく慢性の咳や息切れなどにも使用できます。

暑熱による気津両傷でも、熱邪が盛んな場合には白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)を用いた方がよいです。

汗が過度に出て陽気が亡脱しそうになり、冷汗・四肢の冷え・意識障害などがあらわれた場合には、生脈散に附子(ぶし)を加えて回陽固脱する必要があります。

類方鑑別

清暑益気湯(せいしょえっきとう)
夏バテの代表処方で、胃腸の弱りや疲労感、水を欲しがるなどの渇きの症状を訴える場合に用います。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすく、手足が重だるくなる方に用います。

香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
食欲不振があり、振水音・みぞおちの痞えがある方に用います。

藿香正気散(かっこうしょうきさん)
夏に多い胃腸風邪に用います。冷たい物や果物を食べすぎ、胃腸が弱っているときの風邪にもよいです。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

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