清暑益気湯(せいしょえっきとう)

組成

黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・当帰(とうき)・陳皮(ちんぴ)・甘草(かんぞう)・五味子(ごみし)・麦門冬(ばくもんどう)・白朮(びゃくじゅつ)・黄柏(おうばく)

効果

暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせ

効能

益気生津・清熱

主治

気津両傷の全身倦怠・無力感・口渇・熱感など

方意

暑気あたりによる夏やせ、夏負けの処方です。暑熱により、気虚と津液の損傷を起こした方に用います。

診断のポイントは、夏バテによる食欲不振・口渇・多汗・尿量減少・全身倦怠・心煩などです。

暑熱などによる気津両傷に対し、益気健脾の黄耆・人参・白朮・陳皮・甘草、養陰生津の麦門冬・五味子・当帰、清熱化湿の黄柏を配合しています。

清暑益気湯は同じ処方名でも書物によって構成が大きく異なります。この9種類で構成された清暑益気湯は1585年に「医学六要(いがくろくよう)」に記されたもので、現在日本でエキス顆粒として用いられているものはこちらを元に作られています。清熱解暑の効能はほとんどなく、気津双補が主体になっています。

1249年に「脾胃論(ひいろん)」に記された清暑益気湯は、医学六要の清暑益気湯に升麻(しょうま)・沢瀉(たくしゃ)・葛根(かっこん)・蒼朮(そうじゅつ)・神麹(しんぎく)・青皮(せいひ)が加えられています。益気健脾・除湿に重点が置かれており、清暑生津は補助的です。

清代の「温熱経緯(うんねつけいい)」に記された清暑益気湯は、上の2つの清暑益気湯とは大きく異なります。構成生薬は西洋人参(せいようにんじん)・石斛(せっこく)・麦門冬・黄連(おうれん)・竹葉(ちくよう)・荷梗(かこう)・知母(ちも)・甘草・粳米(こうべい)・西瓜皮(せいかひ)です。暑熱を清解すると同時に益気生津します。竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)と効能が似ていますが、温熱経緯の清暑益気湯は生津益気に重点があり、竹葉石膏湯は清熱和胃に重点があります。

類方鑑別

補中益気湯(ほちゅうえっきとう):
比較的体力の低下した方で、全身倦怠感・食欲不振などは同様ですが、津液の損傷はありません。季肋部の軽度の抵抗・圧痛を認めたり、微熱のある場合に用います。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
比較的体力が低下した方で、全身倦怠感が著しく、冷えと食欲不振があって、皮膚の栄養低下や乾燥傾向が認められる場合に用います。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)
比較的体力の低下した方で、全身倦怠感・食欲不振・皮膚の栄養低下や乾燥傾向とともに呼吸器症状を伴う場合に用います。

六君子湯(りっくんしとう)
体質虚弱の方で、心窩部の膨満感・食欲不振・疲労倦怠感などは似ていますが、心窩部振水音を認める場合に用います。

五苓散(ごれいさん)
発汗・口渇・尿不利・水飲が体内に蓄積した場合に用います。

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう):
煩渇・多汗・尿自利・脱水症状があり、熱と渇が主症状です。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)