当帰飲子(とうきいんし)
組成
当帰(とうき)・生地黄(しょうじおう)・白芍(びゃくしゃく)・何首烏(かしゅう)・荊芥(けいがい)・防風(ぼうふう)・蒺藜子(しつりし)・川芎(せんきゅう)・甘草(かんぞう)・黄耆(おうぎ)
効果
冷え症のものの次の諸症:
慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ
効能
滋陰養血・祛風止痒
主治
血燥生風:
皮膚瘙痒・皮膚の乾燥・細小の落屑や紅色丘疹など
方意
血虚・血燥による皮膚瘙痒を治す方剤で、四物湯(しもつとう)の加味方です。皮膚が萎縮乾燥して生じる老人性瘙痒によく用いられます。
診断のポイントは、貧血性で皮膚は枯燥・発疹や発赤、分泌物などのない瘙痒症・夜間に痒みが悪化するなどです。
当帰・白芍・川芎・生地黄(血虚改善のベースとなる)を含み、何首烏が補血+滋陰(潤い)作用を強化、蒺藜子・防風・荊芥で移動する痒み(風邪)を除去、さらに黄耆・甘草による補気健脾作用を加えた内容です。
湿邪へのアプローチがないということが消風散(しょうふうさん)と異なる点で、純粋な血虚に風邪(移動する性質)を持った病態をケアする形になっています。
健脾剤である黄耆や甘草が加わり、当帰による胃腸系への負担を軽減してくれますが、胃腸が極端に弱い方は少なめの分量から始めてみるのがおすすめです。
熱証に対する生薬は血熱を鎮める生地黄と、風熱を鎮める蒺藜子の配合があるのみであり、熱証が甚だしい場合は不向きです。肌に赤みがある場合は用いず、風邪が鬱して軽度の化熱がみられる場合に適しています。
当帰飲子は滋陰養血と熄風の配合でもあり、血虚生風のふらつき・めまい・しびれなどに使用してもよいです。
類方鑑別
温清飲(うんせいいん):
体力中等度の方で、皮膚の乾燥傾向などは当帰飲子と似ていますが、患部はときとしてわずかながら滲出液があり、瘙痒感が強く、発赤・熱感を伴う場合に用います。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):
体力中等度の方で患部は散発性あるいはびまん性の発疹で覆われ、瘙痒感が強く、発赤を伴い、季肋部の抵抗・圧痛(胸脇苦満)を認める場合に用います。
消風散(しょうふうさん):
比較的体力のある方で、患部が湿潤し、瘙痒感が顕著で、結痂・苔癬化があり、口渇を伴う場合に用います。
八味地黄丸(はちみじおうがん):
老人性瘙痒症などで、皮膚の症状は似ていますが、腰部および下肢の脱力感・冷え・しびれなどがあり、夜間尿の増加がある場合に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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