六君子湯（りっくんしとう）

組成

人参（にんじん）・白朮（びゃくじゅつ）・茯苓（ぶくりょう）・半夏（はんげ）・陳皮（ちんぴ）・甘草（かんぞう）・生姜（しょうきょう）・大棗（たいそう）

効果

胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症：　
胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

効能

補気健脾・和胃降逆・理気化痰

主治

脾胃気虚・痰湿：
元気がない・疲れやすい・四肢の無力感・食欲不振・消化が悪い・少食あるいは食べられない・悪心・嘔吐・腹満・慢性の咳嗽や喘鳴・多痰・泥状～水様便など

方意

六君子湯は胃腸虚弱に使う代表的な漢方薬です。消化器系を元気にする四君子湯（しくんしとう）と胃内の水分停滞を治す二陳湯（にちんとう）の合方になります。

食欲不振と食後の膨満感・眠気・胃内停水・悪心・嘔吐・下痢傾向が診断のポイントになります。

胃の機能失調による嘔吐や吐き気、胃痛を改善します。

利水作用があるため、痰湿を除去することで喘咳・多痰を改善します。

類方鑑別

四君子湯（しくんしとう）：
胃腸虚弱に用いますが、気虚の症状が中心で痰飲の症状はありません。

半夏瀉心湯（はんげしゃしんとう）：
体力中等度の者で、みぞおちがつかえ、お腹がゴロゴロと鳴るなど痰飲の症状がありますが、比較的実証です。

人参湯（にんじんとう）：
体力虚弱の者で、胃腸虚弱し、冷えが原因による下痢に用います。

真武湯（しんぶとう）：
同じ下痢でも、腎陽虚による下痢に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / ［新装版］中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解　漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)