二陳湯(にちんとう)
組成
半夏(はんげ)・陳皮(ちんぴ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)
効果
悪心、嘔吐
効能
燥湿化痰・理気和中
主治
湿痰:
咳嗽・白色で多量の痰・胸が痞えて苦しい・悪心・嘔吐・肢体が重だるい・めまい・動悸など
方意
脾胃の湿痰を治す基本処方で、多くの方剤に組み込まれています。「湿痰」とは何らかの原因により水分の吸収・排泄が障害され、気道の分泌増加、胃内停水等が生じる病態です。「痰飲」「水毒」などは同義語になります。祛痰の方剤であると共に、理気剤でもあります。
痰によって引き起こされる病は多種多様で複雑なことが多く、先人たちも「怪病(原因のよくわからない病気)に痰多し」「百病は痰より生ず」という言葉を残されています。
診断のポイントは、悪心・嘔吐・胃内停水・心下部のつかえなどです。
主薬は半夏で、辛温で燥性であるために燥湿化痰に最も適し、さらに和胃降逆・止嘔に働きます。陳皮は理気燥湿するとともに順気化痰し、茯苓は健脾滲湿により痰の生成を防ぎ、甘草は健脾を助け諸薬を調和します。生姜は降逆化飲を補助するとともに、半夏の毒性を除きます。
半夏と陳皮は陳旧のものほど珍重されます。その二陳が主薬になっているので、二陳湯という名前がつけられています。
元々は烏梅(うばい)一個とともに水煎服していましたが、近年では烏梅を用いないことが多く、エキス製剤からも除かれています。少量の烏梅は肺気を収斂する働きがあります。
咳嗽に用いる場合は、湿性咳嗽(痰を伴う咳)で湿痰(色は白色で泡沫状の多量の痰やゼリー状の痰)の状態に用いられることが多いです。風痰には製南星(せいなんしょう)・附子(ぶし)を、寒痰には乾姜(かんきょう)・細辛(さいしん)を、熱痰には栝楼(かろう)・天竺黄(てんじくおう)を、食痰には萊菔子(らいふくし)・枳実(きじつ)・芒硝(ぼうしょう)を、頑痰には青蒙石(せいもうせき)・海浮石(かいふせき)をそれぞれ加えて使用します。
類方鑑別
小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう):
体力中等度の方で、悪心が強く、口渇・尿量減少を認める場合に用います。
五苓散(ごれいさん):
口渇が強く尿量減少はありますが、胃部不快感が軽度の場合に用います。
六君子湯(りっくんしとう):
体力の比較的低下した方で、食欲不振・心窩部の膨満感・倦怠感などを訴える場合に用います。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):
体力中等度以上の方で、心窩部の抵抗・圧痛・膨満感・腹中雷鳴・下痢・食欲不振などを認める場合に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。
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