乾姜(かんきょう)

乾姜

基原

ショウガ科Zingiberaceaeのショウガ Zingiber officinale Rosc.の根茎を湯通し又は蒸したもの

性味

大辛、大熱

帰経

心・肺・脾・胃

効能・効果

①温中散寒
②回陽通脈
③温肺化痰・化飲

主な漢方薬

人参湯(にんじんとう)
大建中湯(だいけんちゅうとう)
四逆湯(しぎゃくとう)
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

特徴

ショウガは薬味や煮物の匂い消し、お寿司のガリ、紅しょうがなど私達の食卓にはかかせない身近な食材です。辛味成分のジンゲロールやジンゲロンには抗菌作用があり、生臭さを消すと同時に魚料理に付着する細菌の増殖を抑える働きがあります。カツオやアジなどの青魚に寄生する線虫アニサキスに対する殺虫効果もあり、青魚とショウガは大変理にかなった組み合わせであったことがわかります。

日本には2~3世紀ごろに中国から伝わり、奈良時代には栽培が始まっていました。

風邪を引いたときには生姜湯を飲むという民間療法が有名です。他にも、食欲不振、悪心、嘔吐、しゃっくりなどに生のショウガが用いられます。

生薬としての生姜(しょうが)は生姜(しょうきょう)と乾姜に分けられます。日本では生の状態から乾燥させたものを生姜、蒸した後に乾燥させたものを乾姜と呼びます。熱を加えることによってショウガに含まれる有効成分の量が変化し、効能の違いを生み出しています。また、加工しない生のショウガは鮮姜(せんきょう)と呼びます。

中国では名称が異なり、生の状態から乾燥させた状態(日本で言う生姜)を「乾姜」と呼び、加工していない生の状態(日本で言う鮮姜)を「生姜」と呼びます。日本で言う乾姜は一般的には使われていません。このように呼び方が異なるため、中国から輸入された乾姜を「乾生姜」と称して、生姜として利用することもあります。日本と中国で名称と基源が混乱しており少しややこしくなっています。

生姜の主な効果は、吐き気や食欲不振を改善する健胃作用、解熱や咳止め効果です。生姜には身体の表面にある邪気を汗で飛ばすという「解表(げひょう)」の働きがあります。この作用により風邪の症状を軽減し、熱を冷まします。乾姜は体を中から温める作用が強く、胃腸の冷えによる下痢や便秘、腹痛に効果的です。乾姜は大熱性といって温かさが持続する効果があるため、冷え性改善には生姜よりも乾姜のほうがよいです。代表的な漢方薬に人参(にんじん)と一緒に配合されている人参湯(にんじんとう)大建中湯(だいけんちゅうとう)があります。

体内に入った寒邪を散らす散寒薬(さんかんやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に附子(ぶし)、肉桂(にっけい)、呉茱萸(ごしゅゆ)茴香(ういきょう)蜀椒(しょくしょう)艾葉(がいよう)があります。

肺を温めてせきや呼吸困難、悪寒、背部の冷感、多量の痰など症状を改善します。代表的な漢方薬に、半夏(はんげ)や細辛(さいしん)と一緒に配合されている苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)があります。

乾姜と附子(ぶし)はどちらも体を温める効果があります。回陽救逆(かいようきゅうぎゃく)と言って、亡陽(ぼうよう:陽気を極度に消耗した状態)による汗が止まらない、四肢の冷え、呼吸微弱、脈が微弱などのショック状態を回復する効果があります。乾姜は脾胃に入り体の中心を温め、附子は腎の陽を鼓舞します。両者を併用すると効果が高まるので、「附子は姜なくば熱さず」とも言われています。この組み合わせに甘草(かんぞう)を加えたものを四逆湯(しぎゃくとう)と言い、温める漢方薬の基本骨格となっています。よく似た名前の漢方薬に四逆散(しぎゃくさん)というものがありますが、こちらは全く構成生薬が異なる漢方薬なので注意が必要です。

体を温め乾かす効果が強いので、陰虚(いんきょ:潤い不足の状態)タイプや発熱時、妊婦さんには禁忌となっています。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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