小半夏加茯苓湯（しょうはんげかぶくりょうとう）

組成

半夏（はんげ）・茯苓（ぶくりょう）・生姜（しょうきょう）

効果

体力中等度の次の諸症：
妊娠嘔吐(つわり)、そのほかの諸病の嘔吐(急性胃腸炎、湿性胸膜炎、水腫性脚気、蓄膿症)

方意

小半夏湯（しょうはんげとう）に茯苓を加えた処方です。

胃内停水による嘔吐の妙薬とされ、妊娠悪阻等に昔から好んで用いられています。

診断のポイントは、悪心悪阻・心下痞鞕・胃内停水などです。

水飲があって胃気が上逆することで嘔気がするので、小半夏湯で和胃降逆・化痰滌飲し、茯苓を加えて水飲の除去を強めています。

吐き気がある場合は、少量ずつ冷服するとよいです。

類方鑑別

五苓散（ごれいさん）：
尿量減少、めまい等の症状は似ていますが、悪心の程度は軽く、口渇がより強く、一度に多量に吐く場合に用います。

二陳湯（にちんとう）：
体力中等度の方で、口渇はあまりなく、心窩部不快感を訴える場合に用います。

六君子湯（りっくんしとう）：
比較的体力の低下した方で、心窩部の膨満感・食欲不振・倦怠感などを訴える場合に用います。

半夏瀉心湯（はんげしゃしんとう）：
体力中等度以上の方で、心窩部の膨満感・抵抗・圧痛・腹中雷鳴・下痢・食欲不振などを認める場合に用います。

呉茱萸湯（ごしゅゆとう）：
冷え性の方で、頭痛、首や肩のこりなどを訴える場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / ［新装版］中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解　漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)