烏梅(うばい)
基原
バラ科 Rosaceaeのウメ Prunus mume Sieb. et Zucc.の未成熟果実を燻製にしたもの
性味
酸・渋、平
帰経
肝・脾・肺・大腸
効能・効果
①斂肺止咳
②渋腸止瀉
③和胃安蛔
④固崩止血
⑤生津止渇
主な漢方薬
杏蘇散(きょうそさん)
椒梅湯(しょうばいとう)
特徴
烏梅は青梅を燻製にしたもので、奈良時代には中国から伝わっていたとされています。燻製により色が黒くなることから、烏(からす)という字がつけられたと考えられています。日本では烏梅を「うばい」と発音しますが、中国では「ウーメイ」と発音します。これがウメの語源であるという説もあります。
青梅には青酸配糖体のアミグダリンという成分が含まれており、生の状態で大量に食べると中毒を起こすことがありますが(成人で300個、子供なら100個ほど食べた場合です)、燻製にする過程でほぼ無害化されます。
漏れ出るものを引き締める収渋薬(しゅうじゅうやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に山茱萸(さんしゅゆ)、五味子(ごみし)、烏賊骨(うぞくこつ)、訶子(かし)、蓮子肉(れんしにく)などがあります。
渇きを止めて体を潤す働きがあり、慢性の咳や口の渇きに用いられます。他にも下痢を止める働きや、回虫による腹痛・嘔吐にも効果があります。止血効果もあり、擦り傷や切り傷に民間薬としても使われてきました。
日本では青梅の搾り汁を煮詰めて作ったものを梅肉エキスと言い、烏梅と同じ目的で使用されています。
クエン酸を豊富に含むことから漢方薬としてだけではなく、紅花(こうか・べにばな)から紅の色を引き出すための媒染剤(ばいせんざい)として利用されていました。
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