莪朮(がじゅつ)

莪朮

基原

ショウガ科Zingiberaceaeのガジュツ Curcuma zedoaria Rosc.の根茎をよく蒸して乾燥したもの

性味

苦・辛、温

帰経

肝・脾

効能・効果

①行気破血
②消積止痛

主な漢方薬

恵命我神散(けいめいがしんさん)
三稜丸(さんりょうがん)
莪朮丸(がじゅつがん)

特徴

莪朮はインドが原産と考えられており、日本では沖縄や屋久島で古くから栽培されていました。現在でも薬用として栽培されており、屋久島産・種子島産の莪朮を使った商品に恵命我神散(けいめいがしんさん)があります。胃弱・胃もたれ・食欲不振によく、桃華堂の漢方相談でも重宝しています。

アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)では、胃腸の調子を整え消化機能の改善のために使われていました。スパイスとして料理にも使われ、「ホワイトターメリック」とも呼ばれています。

成分としてクルクミンを含みますが量的には少なく、セスキテルペン類が主成分です。特有の苦味が胃を刺激することで胃液の分泌を促し、精油成分のシネオールが唾液や胃液の分泌を促します。シネオールには胆汁分泌促進作用、血中コレステロール低下作用もあります。特有の苦味はありますが、芳香性があるので後味はすっきりしています。

莪朮はショウガ科の多年草で、同属のウコンと作用が似ています。根茎の切り口が紫色であることから紫ウコンとも呼ばれ、他にもウコンの仲間には秋ウコン、春ウコンなどがあります。一般的に日本で秋ウコンといえば生薬の鬱金(うこん)のことを指し、春ウコンは姜黄(きょうおう)という生薬になりそれぞれ区別されています。植物の地上部が非常によく似ていること、中国では日本とは違う呼び方をされていることから、ショウガ科生薬の基原は非常に複雑で混乱しており、輸入品を購入する際は注意が必要です。

健胃作用、胆汁分泌促進作用があり、食べ過ぎによる胸腹部のつかえ・腹痛・腹満・悪心・嘔吐などに有効です。代表的な漢方薬に莪朮丸(がじゅつがん)や恵命我神散があります。

気の巡りや血の巡りを改善する効果があり、無月経や月経痛あるいは産後瘀阻の腹痛に三稜(さんりょう)や川芎(せんきゅう)と共に用いられます。代表的な漢方薬に三稜丸(さんりょうがん)があります。

抗菌作用があり、最近ではアニサキスに対する駆虫効果やピロリ菌の除菌効果なども報告されています。

三稜と効能が似ていますが、気の巡りの改善は莪朮の方が優れ、破血(血の塊を改善する)作用は三稜の方が優れていると言われています。気血は相互に関連が強く、血を巡らせるにはまず気を巡らせる必要があります。そのため、三稜と莪朮は相性がよく、両者を併用して用いられることが多いです。莪朮の薬性はあまり激しくはありませんが、三稜と一緒に用いる場合は正気(せいき:病気に対する抵抗力)を傷つけやすいので、人参や白朮(びゃくじゅつ)など気を補うものと一緒に使うべきという考えもあります。

近年では単味あるいは三稜とともに注射剤を作り、子宮頸癌・外陰癌・皮膚癌・口唇癌に使用し、一定の効果が認められたとする報告もあります。中国の研究では抗腫瘍作用も報告されており、民間薬的にがんへの効果もが期待されている生薬の一つです。