大建中湯(だいけんちゅうとう)

組成

蜀椒(しょくしょう)乾姜(かんきょう)・人参(にんじん)・膠飴(こうい)

効果

体力虚弱で、腹が冷えて痛むものの次の諸症:
下腹部痛、腹部膨満感

効能

温中補虚・降逆止痛

主治

中焦陽虚・陰寒上逆:
腹痛が激しく触れさせない・腹満・嘔吐・食べられない・腹壁上に腸蠕動が望見できる・腹鳴など

方意

虚証で腹中に寒があり、蠕動亢進して痛む方に用います。大建中湯を用いる腹痛は裏寒による疼痛です。

診断のポイントは、裏虚証・蠕動不穏・腹痛などです。

平滑筋の痙攣に対する緩解作用にも非常に優れています。

主薬は辛・大熱の蜀椒で、脾胃を温め散寒除湿・下気散結に働きます。蜀椒ではなく、小建中湯(しょうけんちゅうとう)と同様に膠飴を君薬とする考えもあります。大辛・大熱の乾姜は、温中散寒して中陽を振奮し、逆気を散じて止痛・止嘔します。甘温補中の人参・膠飴は脾胃を補益します。膠飴は緩急にも働きます。

臨床では術後の腸閉塞や癒着の予防などを目的に使用されることが多いです。

類方鑑別

人参湯(にんじんとう)
同じ裏寒に対する方剤ですが、大建中湯の方が散寒と鎮痛の作用が強いです。人参湯には温裏の作用はありますが、鎮痙鎮痛の作用はありません。

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
比較的体力の低下した方で、腹部膨満感・腹痛・冷え症などは似ていますが、排便異常、腹直筋の緊張のある場合に用います。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)
桂枝加芍薬湯の使用時の目標に似ていますが、体力が一層低下した方で、疲労倦怠感・動悸・神経過敏などを伴う場合に用います。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
体力が低下した方で、手足の冷えが一層激しく、下腹部痛・腰痛・頭痛などを伴う場合に用います。

真武湯(しんぶとう)
体力の低下した方で、全身倦怠感・四肢の冷感・腹痛・下痢・めまい・心窩部振水音などがある場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。

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