阿膠(あきょう)

阿膠

基原

ウマ科EquidaeのロバEquus asinus L.やウシ科BovidaeのウシBos taurus L.var.domesticus Gmelinなどの毛を去った皮を水で煮て制したニカワの塊

性味

甘、平

帰経

肺・肝・腎

効能・効果

①補血
②滋陰
③止血
④清肺潤燥

主な漢方薬

温経湯(うんけいとう)
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
猪苓湯(ちょれいとう)
黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)

特徴

阿膠はロバやウシの皮をじっくりと長い時間をかけて煮てつくります。表面は黒色で、滑らかで光沢があり、質は堅いですが脆くて砕けやすいです。臭いは微弱で、味は微かに甘いです。生臭くなく、夏が過ぎても柔らかくならないものが良品とされています。主な成分はコラーゲンです。一般的にロバの皮で製したものは黒色で、ウシの皮で製したものは黄色を呈しています。

中国では古くから高級品として扱われ、宮廷女官など身分の高い女性しか使用することはできませんでした。世界三大美女の一人である楊貴妃(ようきひ)も美を保つために愛用していたことは有名です。また、西太后(せいたいごう)が習慣性流産に悩んでいたときに、阿膠を服用して治療し、後に皇帝となる同治帝(どうちてい)を授かったと言われています。このような歴史から阿膠は今でも女性に大変人気の生薬ですが、現代でも市場価格は上昇傾向にあり、高級品の分類に入る生薬です。

阿膠の名前の由来は、山東省東阿県(さんとうしょうとうあけん)に湧く井戸水でロバの皮を煮たものが、非常に品質が良かったことからきています。現在でも山東省東阿県に本社を設ける東阿阿膠社(とうああきょうしゃ)は世界でトップの阿膠生産メーカーであり、その製造技術は中国の無形文化財として登録されています。

血虚を改善する養血薬(ようけつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に熟地黄(じゅくじおう)、何首烏(かしゅう)、当帰(とうき)、白芍(びゃくしゃく)があります。

阿膠の特徴は補血作用(血を増やす)と滋陰作用(体を潤す)です。

肌や髪を若々しく保つためにはたっぷりと栄養を含んだ血液が必要です。血が不足すれば肌や髪は潤いをなくし、かさつきやぱさつきの原因になります。阿膠の補血作用は、血液が不足しやすい女性の美や健康を保つのに素晴らしい効果を発揮します。代表的な補血の漢方薬は、当帰(とうき)や芍薬(しゃくやく)と一緒に配合されている温経湯(うんけいとう)です。

滋陰作用はとくに慢性の病気で肝腎陰虚(かんじんいんきょ)の証に使われます。手足のほてり、盗汗(じっとりとした寝汗)の症状に良いです。陰虚による不眠には黄連(おうれん)と一緒に配合された黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)が用いられます。

補血作用以外にも止血の働きがあり、鼻血や痰に血が交じるような呼吸器の症状にも使われます。代表的な漢方薬は芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)です。

阿膠は体を潤してくれる一方で胃にもたれやすいため、胃腸虚弱の方に使う場合は注意が必要です。