北沙参(ほくしゃじん)・浜防風(はまぼうふう)

基原

セリ科UmbelliferaeのハマボウフウGlehnia littoralis Fr.Schmidt. ex Miquelの外皮を去った根

性味

甘・微苦、微寒

帰経

肺・胃

効能・効果

①清肺熱・養肺陰
②養胃生津

主な漢方薬

沙参麦門冬湯(しゃじんばくもんどうとう)
養胃湯(よういとう)
益胃湯(えきいとう)

特徴

ハマボウフウは北海道から九州の海岸の砂地に生える多年草です。中国や朝鮮半島、ロシアの沿岸部にも分布しています。かつては日本各地の海岸で見られていましたが、河川護岸・川砂採取などによる砂の供給量減少が原因とされる海浜の侵食により、近年自生地が著しく減少しており、一部地域では絶滅危惧種に指定されています。

昔から食用野草として用いられていたようで、料理のつまに使われ、八百屋の店頭に並ぶので「八百屋防風(やおやぼうふう)」の別名もあります。また、野菜として利用もされており、葉柄が赤みを帯びることから「珊瑚菜(さんごさい)」とも呼ばれてきました。野生のものは風味がよく、強い香りとほろ苦さがあります。

民間療法として、根を陰干ししたものが感冒薬として発熱・頭痛・咳など症状や、神経痛・リウまり・肩こり・関節痛などに用いられていました。

日本には生息していなかった防風(ぼうふう)の代用品としても利用されていました。浜防風の名前の由来も、防風と効能が似ていて浜辺に自生することからきています。防風と浜防風は共にセリ科の植物であるという共通点はありますが、浜防風には防風の持つ解表作用があまりありません。そのため、漢方薬では代用品としての使用はあまりされていませんが、お正月に無病長寿を願って飲まれる屠蘇散(とそさん)では防風の代わりに配合されている場合があります。

沙参と呼ばれる生薬には、北沙参(ほくしゃじん)と南沙参(なんしゃじん)の2種類があります。北沙参はセリ科のハマボウフウの根であり、南沙参はキキョウ科のツリガネニンジンやトウシャジンの根です。日本では北沙参は「浜防風」という名前で売られており、基本的に沙参といえば南沙参のことを示しています。中国では逆に北沙参のことを沙参と呼んでいるので、注意が必要です。現在の中国市場では北沙参が頻用されています。北沙参と南沙参はどちらも清養肺胃に働きますが、効能は北沙参の方が優れており、養陰に働きます。南沙参は祛痰の効能を持っています。

北沙参は「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に収載されおり、古くから薬用として利用されていました。

香りの強いものが良品とされています。

体を潤す滋陰薬(じいんやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に玄参(げんじん)、天門冬(てんもんどう)、麦門冬(ばくもんどう)、黄精(おうせい)、百合(びゃくごう)、玉竹(ぎょくちく)旱蓮草(かんれんそう)枸杞子(くこし)女貞子(じょていし)亀板(きばん)、鼈甲(べっこう)があります。

温燥による乾咳・のどや鼻の乾燥・少痰~きれにくい粘痰・発熱などの症状に、杏仁(きょうにん)や貝母(ばいも)と一緒に用いられます。

燥熱傷陰や肺陰虚による乾咳・少痰~無痰・痰に血が混じる・咽乾・身体の熱感などの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、麦門冬や栝楼根(かろこん)と一緒に用いられた沙参麦門冬湯(しゃじんばくもんどうとう)があります。

熱病傷津による口渇に用いられます。代表的な漢方薬に、麦門冬や玉竹と一緒に配合された益胃湯(えきいとう)があります。

虚寒には禁忌となっています。

生薬の配合で混ぜると毒性が強く出やすい組み合わせを「十八反(じゅうはっぱん)」と言います。北沙参もこの中に含まれており、配合禁忌とされている生薬に藜芦(りろ)があります。藜芦は北沙参以外にも人参(にんじん)、丹参(たんじん)、西洋参(せいようじん)、玄参、苦参(くじん)、南沙参、赤芍(せきしゃく)、白芍(びゃくしゃく)とも相反します。

※ 桃華堂では生薬単体の販売はしておりません。

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