加味帰脾湯(かみきひとう)
組成
白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・黄耆(おうぎ)・竜眼肉(りゅうがんにく)・酸棗仁(さんそうにん)・人参(にんじん)・木香(もっこう)・甘草(かんぞう)・当帰(とうき)・遠志(おんじ)・柴胡(さいこ)・山梔子(さんしし)・生姜(しょうきょう)
効果
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:
貧血、不眠症、精神不安、神経症
効能
益気補血・健脾養心・清熱解鬱
主治
心脾両虚に肝鬱化火を兼ね、いらいら・のぼせなどをともなうもの
方意
帰脾湯(きひとう)に柴胡と山梔子を加えた処方で、帰脾湯の証(心と脾の虚)にのぼせ、ほてり等の熱状あるいは胸苦しい、イライラ等の肝火旺の症状が加わった場合に用います。
診断のポイントは全身倦怠感・易労・貧血・不眠・イライラ・健忘・のぼせ・ほてり・胸苦しさなどです。
類方鑑別
帰脾湯(きひとう):
加味帰脾湯と同様ですが、身体が衰弱して、微熱や熱感あるいは胸苦しさが軽度の場合に用います。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):
体力が衰えて顔色が悪く、疲労倦怠感を訴えますが、加味帰脾湯よりも神経症状が軽度の場合に用います。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):
貧血はあまりないですが、精神不安・不眠・陰萎などを訴える場合に用います。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう):
体力のある方が、興奮・のぼせの傾向を伴い、比較的急性に起こる出血の場合に用います。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう):
消化機能に異常がなく、出血を主症状とします。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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