酸棗仁(さんそうにん)
基原
クロウメモドキ科RhamnaceaeのサネブトナツメZizyphus jujuba Mill.の成熟種子
性味
甘・酸、平
帰経
心・肝・胆・脾
効能・効果
①補肝寧神
主な漢方薬
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
天王補心丹(てんのうほしんたん)
帰脾湯(きひとう)
加味帰脾湯(かみきひとう)
特徴
サネブトナツメはヨーロッパから中国にかけて分布する落葉小高木です。日本へは平安時代に中国から薬用を目的に導入されたと考えられています。
同じクロウメモドキ科のナツメの果実は大棗(たいそう)という生薬になります。サネブトナツメはナツメの原種と考えられており、ナツメよりも果実は小さく果肉は少ないです。漢名の「酸棗」は果実の味がナツメ(棗)と比べ酸っぱいことから名付けられました。和名のサネブトナツメは、ナツメよりも核の部分(さね)が大きいことが由来となっています。学名のspinosaはナツメよりも多くの刺があるということに由来しています。
粒がよくふくらんで大きく、外皮が紫赤色で艶があり、ほのかに甘みがあり、核殻のないものが良品とされています。
「名医別録(めいいべつろく)」には 「煩心して眠り得ぬものを主治する」、「古方薬品考(こほうやくひんこう)」には 「疲れを補い、能く不寝を療す」と記載されており、古くから疲れによる不眠に用いられていました。
心神不安を治療する養心安神薬(ようしんあんじんやく)に分類されます。同じような効能を持つ生薬に遠志(おんじ)、柏子仁(はくしにん)、夜交藤(やこうとう)、小麦(しょうばく)、合歓皮(ごうかんひ)などがあります。
血不養肝・虚火擾心による焦燥・熱感・不眠・動悸などの症状に茯苓(ぶくりょう)や柏子仁(はくしにん)と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、天王補心丹(てんのうほしんたん)があります。
心脾両虚の健忘・多夢・眠りが浅い・疲れやすい・元気がないなどの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、竜眼肉(りゅうがんにく)や遠志と一緒に配合された帰脾湯(きひとう)があります。
体虚の多汗に、人参(にんじん)や茯苓、あるいは生地黄(しょうじおう)、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)などと一緒に用います。
酸棗仁が使われる漢方薬は少ないですが、養心安神薬の代表的な生薬として、睡眠障害に頻繁に用いられます。
炒用すると胃腸の働きを活発にします。
実邪・鬱火には用いません。
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