地骨皮(じこっぴ)
基原
ナス科SolanaceaeのクコLycium chinense Millerの根皮
性味
甘、寒
帰経
肺・肝・腎
効能・効果
①清虚熱
②清瀉肺火
③涼血止血
主な漢方薬
黄耆鼈甲湯(おうぎべっこうとう)
地骨皮湯(じこっぴとう)
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
滋陰至宝湯(じいんしんほうとう)
特徴
クコは東アジア原産のナス科の落葉低木で、日本では北海道を除く各地の荒れ地や土手などに生えています。夏から秋にかけて薄紫色の花を咲かせて、秋に鮮やかな赤い果実をつけます。ナガバクコは日本では自生しておらず、中国の西北部に分布しています。
クコの果実を「枸杞子(くこし)」、根皮を「地骨皮」、葉を「枸杞葉(くこよう)」として薬用にします。「日本薬局方」では枸杞子と地骨皮の2種が収載されています。「枸杞子」は主に丸剤として用いられ、滋養強壮や目の症状改善に用いられます。代表的な漢方薬に、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)があります。「枸杞葉」は江戸時代の日本では主に食用として地骨皮や枸杞子よりもよく用いられていたようです。民間薬の強壮薬としてお茶にして飲まれていましたが、現在薬用として使われることはほとんどありません。
根の形が骨に似ていることから、地骨皮という名前がつけられました。
太い根から調製した巻状の根皮でが良品とされています。
民間療法として、いぼ痔の痛み、口内炎の爛れ、はやり目などに地骨皮の煎じ汁で洗うという手法があります。
地骨皮は「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」の上品に「枸杞」として収載されており、「味苦寒。五内の邪気、熱中消渇、周痺をつかさどる。久しく服すれば筋骨を堅くし、身を軽くし、老いない」と記載されています。「神農本草経」には「枸杞」としか書かれておらず、当時は果実や根・葉などは特に区別していなかったと考えられています。
寒涼性の性質を持ち、涼血や清虚熱の働きにより陰虚に対して用いられる清退虚熱薬(せいたいきょねつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に青蒿(せいこう)、銀柴胡(ぎんさいこ)、白薇(びゃくび)、胡黄連(こおうれん)などがあります。
陰虚の骨蒸潮熱(こつじょうちょうねつ:身体のなかから蒸されるように感じる強い熱感で、午後~夜間に増強する)・盗汗に知母(ちも)や青蒿と一緒に用いられます。代表的な漢方薬に、地骨皮湯(じこっぴとう)があります。
肺熱の咳嗽・呼吸促迫・痰に血が混じるなどの症状に用いられます。代表的な漢方薬に、麦門冬(ばくもんどう)や甘草(かんぞう)と一緒に配合された滋陰至宝湯(じいんしんほうとう)があります。
血熱の喀血・吐血・血尿などに、新鮮品をついて服用するか煎服する。
軽度の生津の効能をもつので、内熱の消渇に使用します。
地骨皮と牡丹皮(ぼたんぴ)は共に清退虚熱・清熱涼血の効能を持ちます。牡丹皮は辛寒で清透に偏り無汗に適するのに対し、地骨皮は甘寒で清降し有汗に適します。また、牡丹皮は清泄肝火に優れ活血散瘀し、地骨皮は清泄肺熱に優れています。
寒降の性質を持つので、脾胃虚寒や表証発熱には禁忌です。
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