ST12. 欠盆(けつぼん)
所属する経脈
足の陽明胃経(ようめい いけい)
別名・別表記
別名:天蓋(てんがい)
別表記:缺盆(けつぼん)
名前の由来
欠盆(けつぼん)の『欠』は「欠ける」、『盆』は「茶わん」のようにへこんでいる場所を意味しています。
このツボは鎖骨の上方にあるくぼみに位置し、この場所が「欠けた茶わん」のような形をしていることから欠盆と名付けられました。
位置
前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部。
鎖骨中央の上のくぼみ(=大鎖骨上窩)に欠盆があり、ちょうど乳首の真上に位置しています。
乳首を通る縦のラインには足の陽明胃経のツボが垂直に並んでいて、上から順に、欠盆、気戸(きこ)、庫房(こぼう)、屋翳(おくえい)、膺窓(ようそう)、乳中(にゅうちゅう)、乳根(にゅうこん)と続いています。
大鎖骨上窩…鎖骨の上縁、胸鎖乳突筋鎖骨頭の後縁、肩甲舌骨筋下腹の前縁に囲まれた三角形のくぼみのこと。
主治・効能
呼吸器系の症状
咳嗽(せき)、気管支喘息(ぜんそく)、胸のつかえ、のどの腫れ・痛み
欠盆は肺やのどの近くに位置するため、呼吸器系の症状に対して効果があります。
整形外科領域の症状
肩こり、寝違え、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群、斜角筋症候群、胸郭出口症候群
このツボはその位置するところから、肩や首、腕に関係する症状にも使われます。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 広頸筋 → 大鎖骨上窩(鎖骨の上縁、胸鎖乳突筋鎖骨頭の後縁、肩甲舌骨筋下腹の前縁の間)
関係する筋肉
- 広頸筋
- 胸鎖乳突筋
- 肩甲舌骨筋
- 前斜角筋
- 中斜角筋
関係する動脈・静脈
- 鎖骨下動脈・静脈
- 外頸静脈
関係する神経
- 顔面神経
- 鎖骨上神経(頸神経叢の枝)
- 腕神経叢
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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