ST11. 気舎(きしゃ)
所属する経脈
足の陽明胃経(ようめい いけい)
名前の由来
気舎(きしゃ)の『気』は「空気」のこと、『舎』は「居る」という意味を持ちます。
このツボは気管の近くにあり、空気の出入りする部位に位置することから気舎と名付けられました。
位置
前頸部、小鎖骨上窩で鎖骨胸骨端の上方、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間の陥凹部。
まず、のどぼとけの外側、胸鎖乳突筋の前縁に人迎(じんげい)を取ります。
人迎を取ったら、そこから下方に指をすべらせ鎖骨とぶつかったところに気舎があります。
このツボはちょうど、胸鎖乳突筋が二頭(胸骨頭と鎖骨頭)に分かれてできたくぼみ(=小鎖骨上窩)に位置しています。
主治・効能
吸器系の症状
咳嗽(せき)、気管支喘息(ぜんそく)、のどの腫れ・痛み、吃逆(しゃっくり)、噯気(げっぷ)、胸焼け、胸のつかえ、甲状腺肥大
気舎はのど元に位置するため、呼吸器系の症状に対して用いられます。
整形外科領域の症状
肩こり、首こり、首のこわばり、寝違え
このツボはその部位から、首や肩に関係する症状に効果があります。
局所解剖
皮膚 → 皮下組織 → 広頸筋 → 胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間
関係する筋肉
- 広頸筋
- 胸鎖乳突筋
- 胸骨甲状筋
- 胸骨舌骨筋
関係する動脈・静脈
- 総頸動脈
- 腕頭静脈
- 前頸静脈
関係する神経
- 顔面神経
- 副神経
- 鎖骨上神経(頸神経叢の枝)
参考文献
著者: 長濱善夫 / 東洋医学概説 / 創元社 (1961)
編著者: 南京中医学院 / 訳編者: 中医学概論邦訳委員会 / 中国漢方医学概論 / 中国漢方医学書刊行会 (1965)
編集: 天津中医学院, 学校法人後藤学園 / 監訳: 兵藤明 / 翻訳: 学校法人後藤学園中医学研究室 / 針灸学[経穴篇] / 東洋学術出版社 (1997)
著者: 劉燕池, 宋天彬, 張瑞馥, 董連栄 / 監訳: 浅川要 / [詳解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(1997)
著者: James H. Clay, David M. Pounds / 監訳者: 大谷素明 / クリニカルマッサージ ひと目でわかる筋解剖学と触診・治療の基本テクニック / 医道の日本社 (2004)
著者: 滝沢健司 / [図表解]中医基礎理論 / 東洋学術出版社(2009)
監修: 形井秀一, 髙橋研一 / 著者: 坂元大海, 原島広至 / ツボ単 / エヌ・ティー・エス (2011)
著者: Andrew Biel / 監訳: 阪本桂造 / ボディ・ナビゲーション ~触ってわかる身体解剖~ / 医道の日本社 (2012)
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