千金内托散(せんきんないたくさん)
組成
黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・甘草(かんぞう)・桔梗(ききょう)・白芷(びゃくし)・川芎(せんきゅう)・当帰(とうき)・桂枝(けいし)・防風(ぼうふう)・金銀花(きんぎんか)・厚朴(こうぼく)
効果
体力虚弱で、患部が化膿するものの次の諸症:
化膿性皮膚疾患の初期、痔、軽いとこずれ
方意
虚弱体質あるいは過労で体力が衰えているために、身体の化膿した部分からいつまでも膿が排出できずに、長引いている場合に用います。高齢の方に多い病態ですが、虚弱体質や栄養不足、過労などがあれば、年齢を問わず若い方にも起こりえます。
処方名にある「内宅」は「膿を外へ追い出す力もないような方をつけて、身体の内側の回復力を高めて、膿を排出させ、肉芽の形成を促進させる」という薬能を示しています。
千金内托散は古くからできもの、痔、虫垂炎などの腸の化膿症状に用いられる他、現代では軽い床ずれ、慢性中耳炎、副鼻腔炎、扁桃腺炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、術後瘡口の回復など様々なものに応用されています。床ずれは栄養状態が悪い方ほどなりやすい傾向にありますので、補う働きがある千金内托散が適応しやすい疾患です。
化膿や腫れに対しては、桔梗・白芷の排膿作用、桂枝・防風の祛風作用、線級の活血作用、厚朴の理気作用、金銀花の清熱解毒作用が対応します。さらに、黄耆・人参で補気し、当帰で補血し、内側から皮膚の回復を促します。
元になった処方は「千金方(せんきんほう)」の内補散で、「和剤局方(わざいきょくほう)」で黄耆が加わり、「万病回春」に掲載された際に千金内托散と名付けられました。
化膿性疾患の初期には荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)あるいは十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を使い、化膿期~排膿期には千金内托散を用いることが多いです。
類方鑑別
荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん):
比較的体力があり、赤く腫れて痛むおできや皮膚炎などに用います。
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう):
虚弱で肌のしまりが悪く、汗をかくためあせも・湿疹が出来やすい方に用います。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう):
疲れやすく、手足がだるい、食欲がない方に用います。夏バテや夏やせ、寝汗にも適しています。
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):
若い方や思春期に多く、赤くて勢いがあって化膿するニキビや吹き出物に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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