茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)
組成
茵陳蒿(いんちんこう)・山梔子(さんしし)・大黄(だいおう)
効果
尿量減少、やや便秘がちで比較的体力のあるものの次の諸症:
黄疸、肝硬変症、ネフローゼ、じんましん、口内炎
効能
清熱利湿・退黄
主治
退熱黄疸(陽黄):
全身の鮮明な黄疸・軽度の腹満・口渇・頭汗・尿量が少ない・尿の色が濃いなど
方意
茵蔯蒿湯は黄疸の薬方として有名ですが、黄疸のあるなしに関わらず用いることができます。この黄疸は食毒・水毒・熱毒により発生したものです。湿熱の黄疸に対する代表処方になります。
診断のポイントは黄疸、熱、小便不利、胸からみぞおちのつかえ、腹満、便秘です。
主薬は茵陳蒿で大量に使用します。3剤とも清熱作用により湿熱を改善する効果があり、山梔子は湿熱を小便として排泄し、大黄は大便から排泄します。
類方鑑別
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん):
体力が中等度以下で、小便不利・口渇・浮腫があり、便秘はありません。腹壁の緊張が弱く、みぞおちに振水音を認めるような場合に用います。
大柴胡湯(だいさいことう):
上腹部より胸部にかけての膨満感、不快感は茵蔯蒿湯より軽いが、肋骨下の抵抗・圧痛が顕著な場合に用います。
小柴胡湯(しょうさいことう):
大柴胡湯と似ていますが、体力が中等度で、肋骨下の抵抗・圧痛の程度がやや弱く、便秘を伴わない場合に用います。
参考文献
編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)
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