茵蔯五苓散（いんちんごれいさん）

組成

茵陳蒿（いんちんこう）・猪苓（ちょれい）・沢瀉（たくしゃ）・白朮（びゃくじゅつ）・茯苓（ぶくりょう）・桂枝（けいし）

効果

のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症：
嘔吐、じんましん、二日酔いのむかつき、むくみ

効能

利湿清熱

主治

湿熱黄疸で湿が熱よりも重く、小便不利するもの

方意

茵蔯五苓散は五苓散（ごれいさん）に茵陳蒿を加えたものです。五苓散の証に加えて肝障害あるいは黄疸のある方に用います。

診断のポイントは黄疸・発熱・小便不利です。茵蔯蒿湯（いんちんこうとう）の証より軽症で、便秘がない方に用います。

五苓散は消化管や組織の余分な水分を利尿によって排泄することにより、下痢を止め胃腸の機能を調節します。これに清熱利胆の茵陳蒿を加えることで、脾胃湿熱による黄疸治療の代表方剤となります。

類方鑑別

五苓散（ごれいさん）：
口渇・尿量減少・浮腫などはあるが、黄疸を伴わない場合に用います。

茵蔯蒿湯（いんちんこうとう）：
体力中等度の方で、尿量減少・浮腫など茵蔯五苓散と似ていますが、肋骨下の重苦感ならびに抵抗・圧痛を伴う場合に用います。

胃苓湯（いれいとう）：
体力中等度の方で、口渇・尿量減少などは茵蔯五苓散と似ていますが、腹部膨満感・軽度の腹痛・下痢・嘔吐などを伴う場合に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / ［新装版］中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解　漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。