排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

組成

桔梗(ききょう)枳実(きじつ)・白芍(びゃくしゃく)・甘草(かんぞう)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)

効果

患部が発赤、腫脹して疼痛をともなった化膿症、瘍、せつ、面疔、その他せっ腫症

効能

排膿・調和営衛

主治

癰能未潰

方意

疼痛を伴う化膿性の皮膚及び口腔・咽喉の腫れ物に対し、方剤の名前の通り排膿の目的で用いられます。

診断のポイントは、化膿性の腫れ物・体表が主・時に膿血便や膿痰などです。特別な腹証はなく、特に炎症性湿潤が強い場合に用います。

排膿散及湯は排膿散(枳実・白芍・枳実・鶏子黄)と排膿湯(甘草・桔梗・生姜・大棗)をあわせたものです。排膿散、排膿湯共に「金匱要略(きんきようりゃく)」の瘡癰腸癰浸淫病篇に出てくる処方ですが、処方のみ記載があって使用目標の指示はありません。日本では習慣的に両者を合方して排膿散及湯としてよく用いていました。

排膿の枳実・桔梗が主薬で、白芍・生姜・甘草・大棗は中焦営衛の化源を振奮します。酸甘化陰(白芍・甘草・大棗)と辛甘化陽(生姜・甘草・大棗)の意味をもち、営衛を充実することにより排膿を促進します。

全体として精熱・解毒・祛痰排膿の働きを持つ方剤です。

類方鑑別

葛根湯(かっこんとう)
体力中等度以上の方の化膿の初期で、項背がこわばり、時に悪寒・発熱を伴う場合に用います。赤みを帯びた発疹や表層性の紅斑です。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
体力中等度の方の皮膚疾患で、滲出液が少なく、化膿巣が小さく、散発性で時に軽度の季肋部の苦満感および抵抗・圧痛(胸脇苦満)を呈する場合に用います。

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
比較的体力のある方で、赤ら顔でのぼせの傾向があり、特に頭部・顔面に散在性の発赤、腫脹あるいは化膿巣を生じる場合に用います。上半身には効きますが、下半身にはあまり効果がありません。

大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
体力が充実し便秘をする方の腹腔内・下部尿路あるいは肛門周囲の化膿性・炎症性疾患で、患部が腫脹・疼痛し熱のある場合に用います。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
体力の低下した方、特に化膿が慢性化し衰弱した方で、るい痩・貧血・食欲不振などを呈し、皮膚の艶が悪い場合に用います。

黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
やや虚弱な方で、化膿や潰瘍が慢性化し、治癒遷延傾向の方に用います。

参考文献

編著者: 神戸中医学研究会 / [新装版]中医臨床のための方剤学 / 東洋学術出版社 (2012)
編著者: 髙山宏世 / 腹証図解 漢方常用処方解説 / 日本漢方振興会 (1988)
著者: 杉山卓也 / 現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 / 日経印刷 株式会社 (2018)

※ この漢方薬は桃華堂では取り扱いのない商品です。

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